授業のやり方・指導法

だから日本語教師はやめられない
アルク『用語集』著者が贈
る検定試験対策通信講座

 教育歴17年のプロが、圧倒的低価格で、徹底的に講義します。
今年こそ、検定試験に合格しませんか。
詳しくはこちら

プロフィール

image1.jpg

名前:篠崎大司(1971年生まれ)
出身:愛媛県
性別:男
職業:日本語教師(別府大学准教授)
ウェブサイトURL:http://www.kanjifumi.jp
一言:日本語教師というのは、本当におもしろくてやりがいのある仕事だと思います。

【形(かた)を身につける。】

メルマガ「日本語教師篠崎大司研究室〔有料版〕」より。
----------------------------------------------------
剣道には、「日本剣道形」というものがあります。

日本剣道形
http://youtu.be/EbskzwErDdA

剣道の技の極意を10本の動作にまとめたもので、
例えば、昇段審査では受審科目にも課せられており、
これがちゃんとできないと、審査に落ちてしまいます。

だから、とりわけ審査前になると、
みんな日本剣道形の練習に勤しむわけです。

「そんな約束事の動作を覚えたって、
 実践では役に立たないんじゃないの。」

「形を覚えることで、かえって技の広がり
 を制限してしまうんじゃないの。」

そう思う方もいるかもしれませんが、
実際は、まったく逆です。

折に触れ、日本剣道形に戻ることで、
構えや相手との間、打つタイミング、
技に至る一連の理屈
(これを「理合(りあい)といいます。)
といった剣道の基本を再認識できるとともに、

自分の悪い癖を直したり、自分の剣風に
さらに深みを増すきっかけを得ることも
できます。

また、形を通じて正しい姿勢や動作を
身につければ、

実践においても、むしろ臨機応変に、かつ
安定した技を出すことができるのです。

このことは、日本語の授業も同じです。

例えば、初級の授業であれば、

(アイスブレイキング)
    ↓
 新出語彙の導入
    ↓
 新出文型の導入
    ↓
 パターンプラクティス
    ↓
 会話練習(談話練習)
    ↓
 コミュニカティブな活動
    ↓
 まとめ・復習

という一定の指導順序がありますね。

まずはこの手順に沿って授業ができる
ようになるということが重要です。

これがあるからこそ、安定した
それでいて文型の特性に応じた
広がりのある授業ができます。

これは、中上級においても同じです。

確かに中上級の授業というのは、
初級に比べてフレキシブルではありますが、

文法であれば文法指導の
読解指導であれば読解指導の
会話指導であれば会話指導の

一定の理合に沿った形が確かにあります。

この形から外れると、まさに「形無し」。

だから、どんなレベルの、どんな技能の授業を
するにしても、

それぞれの基本の形を身につけ、
折に触れ、その形に戻っては
自分の普段の指導を内省する
ことが大切なんですね。

剣道では、高段者になればなるほど
日本剣道形を重視するようです。

晴れて日本語教師になって、いろいろな
タイプの授業を経験しながら、

そこに込められた「形(=授業の定石)」の習得
というものを意識してみるというのも、

10年教師を目指すうえで、必要な視点かなと
思います。

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(20)「授業最終回」留学生は貴重な人的資源だ

スポンサードリンク




 7月5日(火)は、最後の組3名が幼稚園で読み聞かせを行いました。これで幼稚園での活動はすべて終了したことになります。


 この日は、幼稚園から帰ってきた後、最終日の打ち上げパーティの式次第や役割分担を決めることになっていました。結局、お菓子やジュースを飲みながらの歓談の合間に、2つほどゲームをすることでまとまりました。


 そこで、私は紙芝居作成の際にいろいろと助けていただいた芸術文化科の学生を招待すべく、担当の先生と連絡を取りました。


 また、読み聞かせの練習に参加してもらった国文学科の学生にも同様に連絡を取りました。


 ところが、国文学科の学生については参加できるという連絡を受けたものの、芸術文化科については専門の授業が追い込みの時期であるということから、後日、参加できないとの連絡がありました。


 こうなると交流パーティも単なる内輪の会となってしまい、本講義の最終にはあまりふさわしくない感じ。


 できれば、最後まで何らかの形で交流活動をしたいのですが、かといって、最終授業までもうあまり時間はありません。


 そんな折、ちょっとしたことがきっかけで、思わぬ交流活動ができることになりました。


 私が、いつものように昼食を取ろうと大学前の喫茶店に行ったところ、偶然、短期大学部食物栄養科の先生にばったり会いました。


 その先生の話によると、急遽留学生の授業を一回だけ担当することになった。来週の火曜日、留学生相手に釜揚げうどんと冷やしうどんを作って試食会をする、とのこと。しかも、私の授業と全く同じ時間帯でした。


「うちの学生連れて、遊びに行ってもいいですか。」

「どうぞ、どうぞ。」


 かくして、最終日は短大の留学生(といってもほとんどが日本語課程に在籍する中国人留学生)といっしょにうどんを試食することに。もちろん、国文学科の日本人学生も参加。


 いよいよ7月12日、最終日。事前に提示しておいたレポートの課題を留学生から回収し、予定が変更したことを話した後、全員で調理室に向かいました。


 調理室では、麺の生地をこねている真っ最中で、そろそろ茹でにさしかかろうとしていました。


 ある留学生は、一方で生地をこねながら、一方で湯を沸かし、そうこうしながら食器の準備なども手際よくこなしていました。


「こういう時って、日本人の学生より留学生のほうが動きがいいのよね。」


 もう一人の短大の先生が言った。


 またある留学生は、担当の先生の言われるままに生地の上にビニールシートをかけて足で踏みながらこねていました。


 「足で踏んだものを食べるとは……。」


 そんな顔をしていた。


 日本に来てうどんを食べたことのない留学生はほとんどいません。ですが、足を使って麺を作るなど想像すらできない学生も多く、その意味では貴重な異文化体験です。


 寸胴の湯が沸いたら麺を入れます。10分ほどたつと麺は茹であがりました。つゆの入ったお猪口と箸を持ってまわりを囲っていた学生達は、面が茹であがると一斉に食べ始めました。


 釜揚げうどんの後には冷やしうどんも食べたが、それでも麺が余ったので、食物栄養の先生がビニール袋に麺を小分けにし、学生に持って帰らせました。


 こうして、最後の授業は終わりました。私の中では授業をやり終えた達成感というよりは、むしろ「やっと終わった。」という安堵の気持ちでいっぱいでした。


 さて、最後の授業から1週間たった今、ここですこしだけ本講義を振り返ってみたいと思います。


 今の率直な感想から言えば、授業の進め方にしても学習者の取り組み方にしても、初めてにしては、まあ及第点かな、という感じです。


 そもそもこの企画の狙いというのは、授業という枠組みの中で、普段なかなか接触できない日本人とどこまで交流が図れるか、ということでした。


 結果的には、国文学科はもとより他学科の日本人学生と交流することもできたし、何よりも園児との交流を実現できたことは大きな収穫だったと思います。


 そればかりか、何らかの形で地域に貢献できる機会を得られたことは、留学生にとっても大きな自信につながったに違いありません。


 昨今、留学生を人的資源と見る見方は、あちこちでよく聞かれるようになりました。ですが、実際は日本語が不十分であるという理由から単純労働に終始するケースが非常に多い。それでは、あまりにもさみしすぎる。(って、思いません?)


 考えてみれば、留学生はみなそれぞれ自国の文化を背負って日本にやってきているわけで、


 それは、言ってみればより豊かに生きるための生活の知恵といってもいいものです。


 その知恵を最大限引き出して、日本人との地域交流につなげていけば、結果的に日本人にとってもより豊かな生活空間を得ることになるし、留学生にとっても地域における存在意義が出てくるというものではないかと思います。


 単純労働に埋もれさせるにはあまりにももったいないのです。


 今回の「留学生による紙芝居の読み聞かせ」は、このことをどこまで実証できるかについての一つの試みでした。


 私がこの活動を通じてつくづく感じたのは、留学生に知的な社会的役割を担わせるということが、地域交流、国際交流には非常に重要であるということ。そして、留学生はそれに十分足るだけのこれまた非常に貴重な人的資源であるということです。


 来期もまた、新しいメンバーでこの活動を進め、地域交流の輪を広げていきたいと思います。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。また、この活動を論文にまとめました。よかったらご覧ください。)


 さて、私篠崎は中国出張のため、20日から23日まで本ブログをお休みいたします。次回は24日です。


 どうぞお楽しみに。

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(19)「授業9日目(後半)」最後はパーティにしよっか

スポンサードリンク




 それから、例によってまず3人の留学生に読み聞かせをさせ、終わると残りの2名に交代させました。


 1人の留学生の前には6〜7人の園児がみなちょこんと座って、それぞれ話を聞いていました。


 園児の中には紙芝居を指差しながら、いろいろと質問したり自分なりに解説を加える子も。


 留学生の方も分かったもので、その辺はうまくさばきながら話を進めていました。プレゼンも随分板についてきました。


 そんな中を、地元新聞社の記者の方が写真を撮ったり、留学生にインタビューなどをしていました。記者のインタビューにも割りと堂々と答えていた留学生の姿が印象的でした。


 読み聞かせが終わって、少し園児と遊んで、気がついたら30分ほどたってました。


 元気があるといっても、やはりプール遊びの後のこと。部屋の端のほうでは、またごろんとなる園児が2〜3人出てきました。


 あまり居座るとよくない。


 ということで、そろそろ引き上げることにしました。


 私達一行は、幼稚園の先生に挨拶をして教室へ向かいました。


 教室に戻ると、また例によって来週読み聞かせをする留学生にプレゼンの練習を指示しました。


 この授業も後2回で終わります。幼稚園も来週で最後。


 そこで私は、レポートの課題を提示した後、最後の授業をどうするか、留学生に聞いてみました。


「先生、パーティーしましょう。」


 それ、絶対言うと思った。まあ、いっか。今まで結構がんばったから。


「じゃあ、せっかくだから芸術文化の学生や国文学科の学生も呼ぼうか。いろいろお世話になったから。」


「いいですねえ。」


「じゃあ、締め切りまでにレポートを提出した人はパーティーに参加できます。みなさん、がんばってください。」


 一応、釘をさして今日の授業は終わりました。


 今度が最終回かあ。結構長かったなあ。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(18)「授業9日目(前半)」プールがあっても子どもは元気

スポンサードリンク




 今回は、自作紙芝居による読み聞かせの第2回目。


 例によって日本人学生3名に来てもらいました。幼稚園に行くまでの15分間、読み聞かせ組を中心にプレゼンの練習を行いました。


 ところで、前回園児の様子が今までと違うという話をしましたが、後から聞いた話によると、実は先週からプールが始まったのだそうです。(これは、以前も書きましたね。)


 そういや、うちの息子もそんなこと言ってたっけな。


 留学生の読み聞かせを見ていると、たいていの学生は原稿に目を縛られることなくプレゼンを行っています。


 日本人学生も−多少、遠慮しているのかもしれないが−あまりチェックを入れている様子はありません。


 ですが、よくよく聞いてみるとやはり発音上ひっかかる箇所が何箇所か出てくる。


 そこで私は、黒板に「アクセント」、「イントネーション」、「っ」「う」「ん」(いわゆる特殊拍)を板書し、この点を特に注意して練習するように留学生・日本人学生に促しました。


 そうこうしているうちに3時近くになったので、今日の読み聞かせ組をつれて幼稚園に向かいました。


 今回は全員が中国人。


 はたして、うまくいくだろうか。それとも園児はプールで遊び疲れてそれどころじゃなくなるだろうか。


 しかも、今日は地元の新聞社が取材に来ます。(そのときの記事がこちら。)


 幼稚園に着いて、いつもの教室に行ってみましたが誰もいません。


 すべての教室の椅子やら備品やらが全部外に出されていました。教室の所々で清掃会社の方がワックスをかけていました。


 「今日は向こうのお部屋なんです。」


 幼稚園の先生は、そう言って奥の広いホールを指差しました。


 この部屋は、入学式や生活発表会など、イベントをするときには必ず使われる、園で一番大きい部屋です。


 私たちは早速その部屋へ向かいました。


 部屋に着くと、20人ぐらいの園児が、ある子どもはごろんと横になり、またある子どもは起きて遊んでいました。


 が、私の顔を見るや半分ぐらいの子どもが「ワー」と突進してきて、キックやパンチの応酬。


 女児も男児も関係なく、足だのお尻だの股間だの背中だの、実に手厚い歓迎でした。前回より元気がよかったので、ちょっとほっとしました。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(17)「授業8日目(後半)」園児との掛け合いこそ読み聞かせの醍醐味

スポンサードリンク




 留学生の読み聞かせが流暢になったせいか、最初の組も10分程で終わってしまいました。そのころには園児のテンションもいつもに近いところまできていました。


「まだいけるかな。」


 私は残りの2人に読み聞かせをするよう指示しました。いつもならこの辺りから話に飽きてブロック遊びなどに走る園児が出てくるのですが、今日は久しぶりだったせいか、留学生の話を熱心に聴いていました。


 読み聞かせを始めてから20分ほどですべての話が終わりました。


「これで帰ったら子どもも寂しがるかな。でも、あまりバタバタ遊ばないほうがいいな。」


 そう思った私は、


「じゃあね、みなさん。お友達からね、プレゼントをもらったら、何て言うかな?」


 と振ってみました。(かなり苦し紛れのアドリブです。)


「あ・り・が・と・う!」


 大きな返事が返ってきました。


「そうだですね。じゃあ、中国語で『ありがとう』は何て言うのかな?」


「???」


「中国のお姉さん?何て言うの?」


 私はアイコンタクトを送りました。


「シェー・シェー」


「おもしろいねえ。じゃあ、みんなで大きな声で言ってみましょう。せーの。」


「シェー・シェー」


 割れんばかりの声が返ってきました。


「すごいねえ。じゃあ、スリランカでは何ていうのかな。」


「ストゥーティ!」


「ストゥーティ!」


 園児たちはおもしろがって大声で叫びました。


 こんな感じで「おやすみなさい」「こんにちは」「さようなら」などのあいさつを使って園児たちと交流しました。


 そして、3:30ごろ、私たちはちょっと早めに幼稚園を後にしました。


 帰る途中、スリランカの男子留学生が、


「先生、子どもの前で読むのは本当に難しいね。書いてあることを読んでも全然ダメね。」


 話の中身とは裏腹に、その顔は充実感にあふれていました。


「例えばね、わたしが読むでしょ。『かぼちゃの船が川に流されてしまいました。』ってね。

 そしたら、こどもがすぐに『おじいさんとおばあさんは、本当に困ってしまいました。』って言う。

 私が読むところ、子どもが先に分かって言っちゃう。

 だから、私、次読めないでしょ。

 仕方がないから『そうね。困っちゃったね。おじいさんとおばあさん、これからどうするかなあ?』って言う。

 そしたら、次に進める。これは難しい。」


 大人が淡々と子どもに読み聞かせる、それもそれでよさがあるでしょう。


 また、彼のように大人と子どもがシンクロしながら協同でストーリーテリングしていくのも読み聞かせのスタイルとしては非常におもしろいと思います。


 なかなかいい経験をしているな。


 教室のドアを開けると、学生たちはグループごとに読み聞かせの練習をしていました。


 そして「え、もう戻ってきたの?」という顔でこっちを見ていました。


 練習の様子を見ていると、その気になって取り組んでいる学生とそうでない学生とで歴然とした差があることに気がつきました。


 読み聞かせの練習というのは、まず羞恥心を拭い去ることからはじまります。


 ここをうまく克服できるとわりとスムーズに上達していく。


 ですが、この”人前で読む恥ずかしさ”から抜け出せないでいると、いつまでたっても上達しません。


 私は、しばらく机間巡視(最近は「机間指導」とか「机間支援」とか言うのだそうです。)をしながら指導を行いました。


 そして、残り15分ぐらいになったときでしょうか。メンバーの中でもとりわけ恥ずかしがり屋な中国人女子学生のいるグループにくっついて、集中的に指導を行いました。


 始めは体をくねらせながら、もじもじ読んでいた女子学生も、覚悟したのか、次第に筋の通ったプレゼンができるようになっていきました。


 こうして、今日の授業は終わりました。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(16)「授業8日目(前半)」ん?園児に元気がない

スポンサードリンク




 最初からうすうすわかっていたことでしたが、結局、当日まで留学生を集めて読む練習をさせることはできませんでした。


 さて、ここで今までを振り返ってみると、留学生はみな市販の絵本での読み聞かせや園児との交流はすでに1度は経験したことになります。


 また、それぞれの紙芝居も全員完成することができました。その過程で日本人学生との交流もありました。


 以前に比べれば彼ら自身の交流の幅も随分広がっただろうし、また、この活動に対する取り組みも主体的になってきています。なにより、心がオープンになってきたように感じます。


 だからこそ、ここでしっかりと読む練習をし、プレゼンのレベルをアップさせ、本番では園児に喜んでもらえる、そういう感触を彼らに経験させてやりたい。


 そんな気持ちが私の中には強くあったわけです。


 ところが、これがなかなかうまくはいかない。とにかく時間がないのです。


 ふぅ〜。


 さて今回も授業が始まり出席をとります。幼稚園に行くまでには20分ぐらい余裕が。


 先週に引き続き国文学科の日本人学生が3名、助っ人として参加してくれました。


 私は早速、幼稚園に行く留学生に読む練習をするよう指示しました。


 練習している留学生を見ると、かつてのような単なる棒読みがかなり減っていて、なかなか様になっていました。聞くと、大半が家で練習してきたとのこと。


 なんとかいけるかな。


 私は若干胸をなでおろしました。


 3時近くになったので、留学生5名をつれて幼稚園に向かいました。


 道すがら留学生と話しながら最初に読む人を決めました。今回は最初に1人の留学生が園児全員の前で読み聞かせをし、その後、4人の留学生がそれぞれに分かれて読み聞かせをする段取りを考えていました。


 ところが、幼稚園に着くと園児の様子がいつもとちょっと違う。


 いつもなら、おやつが終わると「それ!」とばかりにおもちゃで遊んだり、外に飛び出そうとしたりするものなのに、今日は最初から敷物のうえで横になっていたり、タオルケットをおなかにかけてお昼寝体制に入っている園児が結構いました。


 全体の雰囲気もいつものような破天荒な感じはありません。


「先生、お昼寝してもいい?」

「いいよ。」


 やはり、様子がおかしい。


 考えてみれば、ここ数週間ほどは日差しも強く、本当に暑い日が続いていました。


 たまたま今日は雨が降りそうな天気だったので先生も園児を外に出さないように指導していたようでしたが、それ以前に少しバテ気味のよう。


 今日は早めに切り上げて帰ろう。


 私は予定を変更し、5人のうちまず3人に読み聞かせをさせ、そして残りの2人は様子を見ながらしばらく待機するよう指示しました。


 「みなさ〜ん。今日はね、外国のお兄さんやお姉さんが、みんなの知らない外国のお話をしてくれます。聞きたい人?」


 私が言うと、


 「は〜い。」


 わりと元気のいい声が返ってきました。


 「お話」と聞くと、それだけで大半の園児が興味を示します。私は園児を3つのグループに分け、それぞれ留学生に読み聞かせをさせました。


 始めはどうなることかと心配しましたが、紙芝居がはじまるとほとんどの園児がその手作りの絵に釘付けになっていました。


 また、留学生のプレゼンも随分うまくなっていて、それにつられて園児もますます元気を取り戻し、話にのめり込んでいきました。


 実は、後から知ったことなのですが、幼稚園ではこの週からプール(午前中)が始まったそうで、それで昼過ぎにはみんなグッタリしていたのだそうです。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(15)「授業7日目(後半)」紙芝居作成。原稿の貼り位置はそこじゃない!

スポンサードリンク




 ただ、学生たちを見ていると、ある留学生は原稿のチェックを日本人学生にしてもらったり、またある留学生は日本人学生と話しながら絵を塗ったりしていました。


 この辺はうまくコミュニケーションが取れているようです。


 「後40分です。急いで作りなさい。」


 私は学生を急かした。


 「後30分です。出来た人は私のところに持ってきてください。確認します。」


 学生の顔にもかなり焦りの色が見え始めました。日本人の学生も必死で手伝っています。


 残り20分ぐらいから、完成した紙芝居を見せに来る学生が出てきました。


 ところが・・・、


 彼らの多くが全く同じ間違いをしていました。


 絵パネルの後ろに貼る原稿の位置が間違っているのです。


 紙芝居は複数の絵パネルを順番に後ろに繰りながら話を展開していくもの。だから一番前にある絵のときに読む原稿は、その絵の束の一番後ろに貼り付けておかなければなりません。


 なのに、多くの留学生は一番前にある絵のときに読む原稿を、まさにその絵パネルの裏に貼り付けているのです。他の絵パネルも同じ。


 これではスムーズに紙芝居を読むことができません。


 「はい、やり直し。」

 「え〜!!。」


 慌てて、原稿を絵パネルから剥がし、貼り直す。こんな学生が何人も出てきました。


「後10分です。」


 この時点で、完成しているのは全体の1/3程度。終わった学生は同じグループの学生の手伝いをしています。


 もはや、読む練習どころの騒ぎではありません。


 残り5分で、大多数の留学生が完成し、終了時にはほぼ全員が完成しました。


 「それでは、来週から幼稚園へ行きましょう。」


 私がそう言って、今日の授業は終わった。


 私は、授業の後、幼稚園に行って来週から読み聞かせが再開できることを伝えました。


 そして地元新聞社が取材に来る予定だが、それでもいいかたずねました。


 いずれについても幼稚園の先生には快く承諾していただきました。


 「幼稚園に行く前に、一回読む練習をさせたいなあ。」


 その時の私は、そのことで頭がいっぱいでした。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(14)「授業7日目(前半)」読み練習の時間がない

スポンサードリンク




 5/31、6/7の授業では、幼稚園訪問を一時中断し、芸術文化の学生の助けを借りながら紙芝居の作成を行いました。


 6/7の段階での出来はまだ1/3程度。芸術文化の学生は、授業の関係で7日までの参加。(今日は6/14の授業内容を報告します。)


 幼稚園の先生には2週間だけ休むと伝えていたのですが、このままでは到底無理。今回も紙芝居の作成の続きをするしかありません。


 とはいえ、いつまでもこれに時間をかけるわけにもいきません。芸術文化の学生なしでちょっと大変ですが、今日の授業で全員の完成を目指します。


 私は、今日の授業に参加できる国文学科の日本人学生(日本語教育関係の授業を受講)を予め数名募っておきました。紙芝居が完成した留学生から随時読む練習に移らせ、それを日本人学生にチェックさせるためです。


 こうすれば、留学生のプレゼン能力は上がって児童のウケもよくなるだろうし、日本人学生にとっても外国人と接触する機会が増え日本語教育に関する関心も一層高まるだろう、と考えたわけです。


 授業は2:40から4:10まで。始めからプレゼンの練習は出来ないだろうから、日本人の学生には3:30ごろ来るように伝えていました。


 ところが、授業の始まるころにはすでに教室の前で待っている。


「それなら。」ということで、彼らに始めから参加してもらうことにしました。


 授業が始まり、開口一番、私は留学生に告げました。


 「今日中に紙芝居を全員完成させてください。

 来週から自分の紙芝居をもって幼稚園で読み聞かせをはじめます。

 もし、自分のグループの中で一人でも今日中に完成できなかった学生がいたら、そのグループは前期の成績が出ません。

 みなさん、急いでがんばってください。」


 「それから、早く終わった学生は読む練習をしてください。

 今日は国文学科の日本人の学生に来てもらいました。

 日本人の学生にチェックを受けて、自分の発音を治してください。」


 そして、自己紹介もそこそこに日本人学生をそれぞれのグループに散らばらせ、しばらくは紙芝居の作成の手伝いをしてもらいました。


 作業の進捗状況を見ていると、紙芝居を作り上げるのが精一杯で、とても読む練習までいきそうな雰囲気ではありません。


 「どうやって読む練習を確保しようか。」


 話の途中で園児から「はい、おしまい。」と言われるようでは、どうしようもありません。


 しかも、来週は地元の新聞社が取材に来る。だからというわけではないが、もう少し、さまにならないものか。


 私はそんなことばかり考えていました。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(13)「授業6日目(後半)」ポイントは、相手を配慮した粘り強いコミュニケーション

スポンサードリンク




 留学生には悪いのですが、今回の読み聞かせ組みを連れて行くのは、ちょっと気が重かったのでした。


 というのは、彼らは発音があまり上手くなく、どちらかと言うと教師の前では口数の少ない留学生がほとんどだったからです。「まあ、でもいい経験にはなるか。」正直そんな気持ちでした。


 幼稚園に着くと、園児たちはおやつをすっかり食べ終え、ブロック遊びにふけっていました。とてもすぐに読み聞かせに入れる状態ではありません。


 私たちは園児をその気にさせようといろいろ話しかけたりしながら(幼稚園の先生にも助けていただきながら)、少しずつブロックを片付け、なんとか園児を一所に集めました。


 今日はいつもと違って始めから園児を3つのグループに分け、まず留学生3人にそれぞれ読み聞かせをさせました。


 ところが、私の予想に反して、今回の読み聞かせ組みは最初から「この絵、何の動物?」「これから、どうなるかなあ。」と問いかけたり、園児とアイコンタクトを図ったりしながら読み聞かせをしていました。


 先輩からいろいろ話を聞いて自分なりにいろいろ練習したのでしょう。その成果がしっかりと現れていました。


 ただ、今回は園児の半分ぐらいは、あまりお話を聞くモードではなかったようで、留学生も四苦八苦していました。こればかりはどうしようもありません。


 読み聞かせが一通り終わると、例によって園児と自由に遊びます。やはり園児にとってはこっちの方が楽しい。


 きりのいいところで幼稚園を切り上げ、先生方に挨拶をした後、私たちは教室に戻りました。


「ただいま、帰ってきました。」


 教室を見渡すと、上手くコミュニケーションが出来ていそうなグループもあれば、メンバー全員がうつむき加減な面持ちのグループもありました。


 「いや〜。思ったより結構難しいですね。」


 と、芸術文化科の先生。


「ただ原稿を12分割して絵を描く、と言うほど単純じゃないですね。原稿をしっかり読み込んで内容を十分理解しないといけない。例えば、一瞬の場面だけに使う絵もあるわけです。登場人物の服装なんかもいろいろ話さないとわからない。これは思った以上に大変です。」


 その通り。この活動の大きなねらいの一つががここ。この活動では、留学生と芸文の学生との一つ一つの確認作業が非常に重要なものになります。どっちかがどっちかにお任せではすみません。


 一つ一つのハードルを学生自身の力で根気強く乗り越えていかなければならないのです。


 当然のことながら、最初から上手くコミュニケーションが図れる保証などどこにもありません。


 ハリネズミの逸話ではありませんが、お互いの距離感や相手への配慮がなければ気持ちよく作業を進めていくことは出来ません。私が留学生に体感してもらいたかったのは、まさにその部分なのでした。


 最後に、グループごとに現在の進捗状況と次回の活動予定を報告してもらって今回の授業は終わりました。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(12)「授業6日目(前半)」留学生、もっと動け!

スポンサードリンク




 授業まであと3分ほど。私は教室に向かって階段を上っていました。


 すると目の前に、学生の集団が12〜13人。中には絵の具まみれの作業着を来た者もいました。そして、その先頭に先日学生の手配をお願いした芸術文化科の先生が。


 「あ、○○先生。」

 私はその先生の名前を呼びました。


「篠ア先生。学生を連れてきました。どこの教室に連れて行ったらいいですか。」

「え〜と、こっちです。」


 私は予め確保しておいた、いつもと違う広めの教室を指差しました。それから慌てて、留学生が待っているいつもの教室へ。


 留学生はすでに教室に集まっていました。


「今日は200番教室で授業します。もう芸術文化科の学生は来ています。

 今日の居残り組は、芸文の学生と相談しながらいっしょに紙芝居の絵を描いていきます。

 読み聞かせ組みは幼稚園に行きます。

 それでは、荷物を持って200番教室に行きましょう。」


 私はとりあえず留学生全員を200番教室へ連れて行くと、グループごとに着席させました。


 そして、芸術文化科の学生には正面の壇上にあがってもらいました。私は留学生に向かって言いました。


 「今日は芸術文化の学生の皆さんに来てもらいました。今日からみんなが作った昔話をもとに実際に紙芝居を作ります。

 ですが、芸術文化科の学生が全部の絵を描くわけではありません。自分で絵が描ける学生は、アドバイスを受けながらできるだけ自分で描いてください。

 どうしても自分でかけない学生は、芸術文化科の学生と相談しながら描いてもらいなさい。」


 「で、私たちは何をすればいいですか。」


 芸術文化科の学生から質問が出ました。


 そうか、こっちの学生には事前にちゃんと説明していなかった。


 「今まで留学生がそれぞれの国の昔話を原稿に書いてきました。今日はそれをもとに紙芝居を作ります。

 パネルは1つの話あたり8枚から12枚です。皆さんにはそれぞれのグループの中に入っていただいて、その手伝いをしてください。

 留学生は皆それぞれ下絵を書いてきています。それに沿って描いてください。」


 私はすぐそばにいた留学生に、

「絵、考えてきた?」

「いえ。」


 え?何だって?!


 隣の留学生も、その隣の留学生もまったく考えていない。絵は芸文の学生にすっかりお任せとでも思っているのだろうか。あれだけ念を押したのに。


 それでも何人かは下絵を描いてきた留学生もいました。


 私はスリランカの留学生が書いた下絵を芸文の学生に見せました。なかなかよく描けている。


 「お〜。すげ〜。俺たちすることないじゃん。」


 芸文の学生から驚きの声が。


 あ、いや。そうじゃなくて。みんなこんなんじゃないから。見せた例がよすぎたかな。


 ともかく、そんなこんなで芸術文化科の学生には1グループあたり2名程度入ってもらい、まずは昔話の読み込みと絵の打ち合わせから始めてもらいました。


 そして、私は芸文の先生にこの場を任せ、読み聞かせ組を連れて幼稚園に向かいました。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(11)「授業5日目(後半)」読み聞かせ、実は結構難しい

スポンサードリンク




 私は、園児に分からないように他の留学生を集めて言いました。


 「この後、子どもを4つのグループに分けて皆さんに読み聞かせをしてもらいます。読むとき、必ず子どもの目を見ながら読みなさい。そして、絵本どおりに読まなくてもいいから、絵を使って子どもにいろいろ話しかけなさい。」


 聴いている学生の目は真剣でした。


 そうこうしているうちに、バングラシッシュの彼の読み聞かせが終わりました。聞き苦しいばかりの読み聞かせなのに、最後まで付き合ってくれる園児には、本当に頭が下がります。


 「初めてだからすごく緊張した。でも、次は大丈夫。たぶんできます。」


 その留学生は言いました。


「そうだね。初めてだからね。また、練習しよう。」


 私は答えました。


 それから、例によって園児を分散させ、残りの留学生に各自で読み聞かせをさせました。


 さっきの指示が利いたのか、学生は絵本を使って園児と積極的に関わろうと努力していました。


 後になって聞いた話ですが、幼稚園の子を持つお母さんでも、こういった場でちゃんと読み聞かせができる人というのは、なかなかいないのだそうです。


 自分の子どもにするならともかく、他人の子どもがたくさんいる中で話をするのは、緊張するし難しい。どうやってみんなの気持ちをずっとひきつけ続けるか、あるいは登場人物によって声を変えるかなど。


 考えてみれば、それだけの課題を私は留学生に課しているわけです。


 読み聞かせが一通り終わったので、これもまた例によって園庭でみんなと40分ほど遊びました。園児にとってはこっちのほうがはるかに楽しみのようでした。


 幼稚園を後にして、私たち一行は教室に戻りました。


 教室では、居残り組みが原稿の推敲をしていました。グループによっては、まだ済んでいないところもありました。


 「今度は、直した原稿を原稿用紙に書いて、土曜日までに出してください。」


 私はそう言って、原稿用紙を配った。


 「それから、紙芝居にする絵を考えておいてください。絵は芸術文化の学生に手伝ってもらいます。どんな絵を描いてもらいたいか、しっかり考えておいてください。」


 紙芝居の作成を通じて、他学科の学生(主に日本人学生)との交流を図るのが狙いです。


 ここで今日の授業は終わりあました。


 後日、芸術文化科の先生に協力してくれる学生をお願いしたところ、実に13名もの学生を用意していただきました。


 来週から本格的な紙芝居の製作に入ります。教室も広い部屋を確保しました。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(10)「授業5日目(前半)課題山積。企画倒れか?」

スポンサードリンク




 前回の宿題。締め切りは14日土曜日。この時点でまだ3人未提出。本来ならここでアウトなのですが、私はその学生を呼び出して言いました。


 「今のままだと、あなたに成績は出ません。あなただけじゃなく、宿題を出したあなたのグループのメンバー全員出ません。この授業は必修科目なので成績が出ないと卒業がとても難しいです。いいんですか。」


 なかば、というか完全に脅迫です。


 私は同じことを、3人が属するグループの他のメンバーにも告げました。


 彼らは慌てて、未提出の仲間に「早く出せ!」と詰め寄っていました。


 結局、授業開始10分ほど前に全員分が揃いました。学生らも随分反省していた様子だったので今回は大目に見ることにしました。


 授業の前に留学生の原稿を見て思ったのは、前回指摘したことが全く徹底されていないということ。


 普通体で、言葉も難しく、園児が入り込みやすい文章とはお世辞にも言えませんでした。


 きっと、このスタイルが、すっかりこびりついているんですね。


 そこで、今日の居残り組みには、グループ内で互いに原稿を読みあい、相互に推敲しあうよう指示しました。私は推敲のポイントを板書しました。


 ・普通体をていねい体に直す。
 ・難しい言葉、漢字2字の言葉や音読みの言葉は、
  簡単な言葉、訓読みの言葉に直す。
 ・長い文は、2つに切って短くする。



 とにかく、自分が読んで分からない言葉は使わない、スッと読んでスッと分かるような文を作るよう促しました。


 それから、私は読み聞かせ組みの5人を連れて幼稚園に向かいました。


 実は、今回の5人は密かに期待していました。


 というのは、このメンバーはわりと社交的な学生が多いこと、中にはこれまで弁論大会に出場したり、そこで賞をもらったりした留学生もいたからです。


「練習してきた?」

「はい、してきました。」

「そりゃ、いいねえ」


 幼稚園に着くと、園庭で遊んでいた園児を教室に入れました。そして、バングラディシュの学生に紙芝居をするよう指示しました。彼は紙芝居のボードを持って園児の前に立ちました。ところが、……


 緊張しているのか、それとも書いてある日本語を忠実に読もうとしたからか、紙芝居から片時も目を離さず読み進めています。


 しかも棒読み。紙芝居はしりとりをテーマにしたもの。だから、園児との掛け合いが非常に重要。なのに……


 「『リンゴ』。『ゴ』ノツギハ…。」

 「ゴリラ。」


 ある園児が大声で言いました。他の園児たちも次々に「ゴリラ」と叫びだしました。しかし、当の本人は全く聞こえていない。


 「……ナニカナ。ワカルカナ。カラダガオオキクテ、ノッシノッシアルクヨ。」


 心なしか白けムードが・・・。


「絵が見えな〜い。」


 園児からクレームが飛んできました。紙芝居の原稿に気を取られていたあまり、ボードを伏せてしまっていたのです。


 気が動転してしまったのか、彼は読み終わったボードを足元に置こうとしていました。


 そんなことしたら、次の原稿が読めないじゃないか!


 私は、心の中でそう叫びました。


 私は、彼に読み終わったボードを、紙芝居の一番後ろに持っていくよう手助けしました。そして、彼はまた続けて読み始めました。相変わらず、目は原稿を凝視したままです。


 こりゃ、ダメだ・・・。


 企画倒れかなあ・・・。


 そんな考えが、思わず脳裏をよぎったのでした。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(9)「授業4日目(後半)留学生の下手な日本語に園児は?」

スポンサードリンク




 5名は先週渡された絵本や紙芝居を携えています。今日の読み聞かせに備えて各自家で練習してきたのです。


 中には、意味や読みのわからない言葉をすべて辞書で調べてメモにしている学生もいました。


 小さな雑木林を左に曲がると、15mほど先に幼稚園の裏口があります。私たちはいつもここから園内に入っていきます。


 裏口のゲートにはすでに、4〜5人の男子園児が今か今かと待ち受けていました。


 すると、10m手前で急に中国人の女子留学生が路上に座り込んでしまいました。


 実は、彼女は前回の帰り際、男子園児に胸をわしづかみされるということがあって、彼女にとってはやはりそれなりのショックがあったようでした。


「先生、ちょっと待って。緊張。とても緊張。」


 前回のこと、そしてたくさんの園児の前で紙芝居を読むプレッシャーで立つことすらおぼつかない様子です。


「大丈夫。もう大丈夫です。」


彼女は立ち上がった。


 緊張しているのは彼女だけではありません。他の男子留学生もまた、座り込まないまでも声は上ずり、笑ってごまかす顔も引きつっていました。


 教室に入りました。園児は既におやつを食べ終わり、留学生が来るのを座って待っていました。今日のトトロ組は15人ほど。先週よりちょっと少ない感じです。


「みなさんこんにちは。今日はお兄さんやお姉さんが絵本や紙芝居を読んでくれます。みんなはお話聞くの好きかな?」


 私は園児に話しかけました。


「は〜い。」


 2/3ほどの園児は元気よく手を上げました。中には、前回のこともあってか、早く留学生と外で遊びたいと言いたげな園児もいました。


 「しまった。」


 その時、私は思いました。読む順番を決めてなかった。


 私はとっさに隣にいた中国人の男子留学生に最初に紙芝居を読むよう促しました。


 彼は体が固まったまま「はい。」とだけ答え、紙芝居と訳や漢字の読みがなを書いているであろう小さなメモをもって、園児の前に立ちました。


「ウ・サギ・ノ・ショボ・ダン。コ・ド・モ・タケ・デ・ヒー・ア・ソ・ビッタラ・ア・ウ・ナ・イ・ヨー。ボー・ク・ダジョブ。ヘ・キ・タ・ヨ。……」


 あまりにも…あまりにもたどたどしい。


 中国人学習者の発音上の特徴として特殊拍(「っ」「ん」「ー」)や清音と濁音(「゛」の有無)が上手く言えない、というのがありますが、そういった悪い癖がもろに出ていました。


「これは…。」


 わたしは園児もすぐに飽きて聞かなくなるだろうな、と思いました。


 実際、一番前に座っている男子園児が、ちょうど話の途中で「はい、おしまい。」と言うような一幕もありました。


 ところが、大半の園児たちは、聞きにくい話し振りであるにもかかわらず、食い入るように聞いていました。


 私は改めて、紙芝居の持つ力というものを実感しました。(っていうか、単につきあってくれていただけかも・・・。)


 最初の読み聞かせが終わったあと、残りの4人を教室のあちこちに配置させ、園児もほぼ均等に4つに分け、各々で読み聞かせをさせました。


 どの留学生もまだ緊張がとけないのか、ただ棒読みしている感じの学生もちらほら。


「絵本の文にこだわらなくてもいいから、とにかく子供にいろいろ語りかけるように話しなさい。」


 そう言って、私は絵本にある動物や植物を指差しては、園児に向かって「これ、何かな?」「何してるのかな?」と実演してみせました。


 20分ほどたって、読み聞かせも一段落ついたので、園庭に出て遊びました。


 ボールを使ったり、砂をいじったり、こういうときの子供は実に生き生きとしています。


 前回のこともあったので、今日は30分弱ほどで切り上げ、園児たちや先生にあいさつをして教室に戻りました。


 園児たちはちょっと物足りなさそうな感じでした。


 教室では居残り組みの留学生が原稿を作っていました。


 読み聞かせ組みに感想を言ってもらい、今週末までに原稿をメールで再提出するよう指示して、今日の授業は終わりました。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(8)「授業4日目(前半)昔話はレポートじゃない」

スポンサードリンク




 先週のの土曜日には、ほぼ全員が昔話をメールで送ってよこしてきました。


 私はそれを紙芝居用に縦書きの書式に変更し、すべてプリントアウトをして授業の最初に配りました。留学生自身に推敲させるためです。


 「先生、日本語でワープロ打ってメールするのは大変です。とても時間がかかります。」


 と、ある中国人留学生。


 そんなことははじめから分かっている。まさにそれが狙い!


 国文学科の留学生に「メールで課題を出させるような授業がありますか。」と聞くと、きまって「ほとんどない。だいたいレポート用紙。」と答えます。


 だから、日本語でパソコンを使うのを苦手とする留学生が結構多い。中には、4年になるまで大学のパスワードすら取得していないという学生までいるのです。


 これでは、せっかく日本に留学したにもかかわらず、基本的なツールさえ使えないまま社会に出ることになってしまいます。


 ましてや国文学科。社会に出て恥ずかしい思いをするのは、誰でもない本人。


 これぐらいの技能はつけて欲しいところです。


 ですが、ここで問題にしたいのはそういうことではなく、


 彼らが書いた昔話の原稿の中には、園児にはかなり難しいと思われる表現やとっつきにくい言い回しが実に多いというところ。


 例えば、こんな感じ。


檀君神話

むかし、むかし。天地万物をつかさどる天帝、桓因(ハンイン)は、天から、はるか地上を見おろしていました。……(原文まま)


 また、普通体で書いているものも少なくありません。


 例えば、こんな感じ。


 カラスとキツネの物語

 民間に伝わるカラスとキツネの物語に伝えられている。  ある日、カラスは外へ食べ物えを探して、偶然においしい肉をみつけた。これはカラスによっていい事があった、だから、ことのほか機嫌がいいようだ、カラスは自分で探した肉を食べたがったから、人里離れた所の木の上に食べたとき、あいにくキツネこの木を通った。(原文まま)


 考えてみれば、彼らが普段触れる文章というのは、論文を読むにしろレポートを書くにしろ、とにかくかたいもの一辺倒。


 だから、こんなときにうまくレベルシフトができないのです。


「あのね、相手は幼稚園児。これじゃわからないよ。

 まず、漢字2字の言葉、音読みの言葉はやめて、ひらがなの言葉・訓読みの言葉に直しなさい。

 それから、普通体はやめて丁寧体で書きなさい。

 それから、文はできるだけ短くしなさい。」


 そこで、

 「じゃあ、『母親』はなんて言う」

 私が留学生に投げかけると、


 「母。」


 おーーーーい。


 すぐさま他の留学生が、


「お母さん。」


「そうそう、そういうふうに自分が書いた文を直していくんです。」


 そうこうしているうちに3時近くになったので、私は各グループから1名ずつ計5名を幼稚園に連れて行きました。残りの10名は教室で自分の原稿の推敲です。


 振り返ってみると、日頃指導をしている(産出技能としての)日本語というのは、レポート作成向けの厳密に定義された難解な書きことばか、自分と同世代か目上の人向けの、丁寧かそうでないかだけの話し言葉か、ぐらい。


 そりゃ、学生が戸惑うのも無理からぬことです。


 つくづく自分の普段の指導範囲の狭さを痛感したのでした。


 皆さんの所は、いかがですか?


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(7)「授業3日目(後編)留学生も興奮、園児も興奮」

スポンサードリンク




「あなたは砂場にいる子どもと一緒に遊びなさい。」

「あなたは鶏小屋にいる子どものところへ行きなさい。」

「あなたは雲梯をしている子どもを助けてあげなさい。」


 とにかく、少しでも多く接するよう促しました。


 少しずつ慣れてきたのか、そのうち何も言わなくても留学生のほうから自然に園児に話しかける光景が目立つようになり、30分たったころには、すっかりなじんでいる様子でした。


 授業の最初のころはぜんぜん乗る気ではなかった中国からの男子留学生も、気がついたら狭いウサギ小屋の中に入り込んで、園児と一緒に遊んでいました。


「先生、うさぎはかみますか。」


 彼なりに気を使いながら、楽しんでいる。


 また、バングラディッシュからの留学生は、

「先生、子どもがみんな私の名前を覚えました。」


 見ると、数人の園児が上り棒に上りながら、その学生の名前を連呼していました。


 そうこうしている間に、私は留学生に読み聞かせをさせる絵本と紙芝居を人数分選びました。


 どんな話が園児にウケるのか分からなかったので、とりあえず「おおきなかぶ」「ぐりとぐら」「桃太郎」といった定番は押さえておきました。


 幼稚園の先生によると、繰り返しの多い話は園児も熱心に聴くのだそうです。


 50分近くたったころでしょうか。私は留学生を集めて、そろそろ帰ろうと言いました。そして園児や幼稚園の先生方に挨拶をした後、留学生と一緒に大学の教室に戻りました。


 教室では、まず一人一人に絵本や紙芝居を配り、家で読む練習をしてくるように指示。それから、昔話を書いてきた(調べてきた)か確認しました。


 ほとんどの学生がしっかり宿題をこなしてきていましたが、みんな手書きで書いてきていたので、次の授業の前日までにメールで私のところに送るよう指示しました。


 ここで今日の授業は終わり。


 後から聞いた話ですが、あのときの園児の興奮は相当だったらしく、留学生が帰った後、幼稚園の先生は園児を部屋に集めて、気持ちが落ち着くまでしばらくビデオを見せたのだそうです。


 実は、園児の中には私の息子と娘もいました。で、その二人も興奮しすぎてその日の夕飯をろくに食べることができませんでした。


 ちょっとやりすぎたかな。


 もっと早く切り上げるべきだったと思う反面、お互いに打ち解けるにはそれなりの時間も必要とも思います。この辺の見極めは今後の課題です。


 それにしても、普段したことのないことを経験すると、学生の今まで知らなかった一面が見られたり、新しい発見や驚くことが本当にたくさんあります。


 と同時に、いかに日頃学生を一面的にしか見ていないか、そして、自分自身、いかに狭い世界で生きているか、痛感させられます。


 こういうことを肌で感じるって、結構大事かも・・。


 皆さんはいかがですか?


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(6)「授業3日目(前編)留学生、園児にたじたじ・・」

スポンサードリンク




 授業の前日である4月25日(月)、事前の打ち合わせをするため、私は幼稚園へ向かいました。


 打ち合わせは園長先生、担当の先生、そして私の3人で行ないました。


 この幼稚園は通常は朝9時から昼2時までですが、その後も6時ごろまで「トトロ」と称した預かり保育を行っています。日によって違うのですが大体15名程度の園児を預かっています。


 この「トトロ」を利用している園児が、私たちの読み聞かせの対象となるわけです。


 打ち合わせでは、幼稚園から学生分の絵本や紙芝居を貸していただくことや、当日の段取り等が話し合われました。また、園児との接し方についてアドバイスもいただきました。


 翌26日。


 15人の留学生を連れて幼稚園に向かいました。初めてのこととあって、やや緊張と興奮が入り混じった様子。


 とにかく笑顔を絶やさないこと、園児を必要以上に興奮させないように冷静に接すること等を事前に指導しました。


 幼稚園に着いたときはちょうどおやつの時間で、園児は板間の教室に座ってみかんを食べていました。


 おやつを食べ終わったころを見はからって幼稚園の先生が、

「今日はね、遠いところからお兄さんとお姉さんが来てくれました。みんなとお話したり遊んだり、お友達になりたいんだって。みなさん、なかよくできるかな。」


 15人の留学生が、ぞろぞろと教室の中に入ると、園児たちはそれに合わせるように座ったまま後ずさりしました。


 しかし、それもつかの間。ほどなくその距離は縮まっていき、少しずつお互い打ち解けていきました。


「それではみなさん、お外に出ましょう。」


 子どもと仲良くなるためには、まず一緒に遊ぶのが一番。男の子は走り系、女の子はままごと系。これが定番なのだそうです。


 留学生が靴を履くのにもたついている間に、園児は裸足のまま園庭に飛び出していきました。


 ある子は砂場で穴を掘り始め、ある子はブランコに直行。またある子は留学生めがけてサッカーボールを蹴り飛ばす。またある子は留学生に大分弁で今日あったことをしゃべりまくる。


「先生、子どもの日本語速いです。わかりません。」

「わからなくてもいいから、どんどん話にからみなさい。」


「先生、子どもも方言話しますか。」

「もちろん。雰囲気で分かりなさい。」


 はじめは、園児のエネルギーに圧倒されたのか、どう接したらいいのか分からず、ただ立ち尽くす留学生が大半でした。


 ・・・・・。


 こんなんで、読み聞かせなんかできるんだろうか・・・。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(5)「授業2日目(後編)留学生、実はやる気満々」

スポンサードリンク




「あのね、相手は子どもだからね。笑顔で、やさしく読んであげてください。そして、子どもの目を見て、話しかけるように読んでください。」


 そういって、ちょっとだけ実演してみせました。すると、スリランカの留学生が下からなめあげるような言い方で、


「むかしねえ、あるところにねえ、おじいさんとねえ、おばあさんがねえ、いたんですよう。」


 大爆笑。クラスのボルテージは一気に沸点!


 朗読する面白さを全員に体感させたところで、今度は絵本の作成に向けて誰がどんな昔話を書くか、分担を決めます。


 今回のクラスは、中国12名、台湾1名、スリランカ1名、バングラディッシュ1名。


 基本的には自国の昔話を書くのですが、このままだと中国一色となり面白くありません。


 それぞれのグループも中国人以外の学生が1人いるかいないかです。


 そこで、グループのメンバーのうち1人(中国人学生)は他の外国人の知り合いにかけあって、中国以外の外国の昔話を来週までに調べてくるよう指示しました。


「先生、どれくらい書きますか。」

「読み終わるころには子どもが寝るくらい。あまり短いと『お兄ちゃん、もっと読んで、もっと読んで。』ってなって大変だから。」


「なるほどー。」

 一同関心する。


「先生、『三匹の子ぶた』知ってますか。」

「知ってるよ。っていうか、それ、中国の話じゃないじゃん。」


「先生、『うさぎとかめ』は?」

「それ、日本にもある。せっかくだから、日本人が知らないような話を書きましょう。」


 こうして、それぞれが何の話を書くか(あるいは調べてくるか)を決めて、今日の授業は終わり。


 ところで、別府大学には同じキャンパス内に附属幼稚園があります。この授業の2日後に園長先生から、読み聞かせをしてもいいという許可をいただきました。


 いよいよ、来週は実際に園児に混じって読み聞かせをします。果たしてどうなることやら。

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(4)「授業2日目(前編)留学生、桃太郎と会う」

スポンサードリンク




 授業2回目。前回はやや気まずい雰囲気のまま授業が終わってしまいました。でも大丈夫。ここから、怒涛の巻き返しを図ります。


 まず、留学生を3名ずつ、AからEまで5つのグループに分けました。


 というのも15名のままで授業を進めると、必ず手持ちぶたさな学生が何人か出てくるからです。


 そうなると、やがて彼らは宙に浮いた存在となり、ずるずるとドロップアウトしていってしまいます。そして他の学生にも悪い影響を及ぼしてしまう。


 では、どうしたらいいか。


 私は受講生を小分けにし、成績もグループ単位でつけるようにしました。


 そしてグループを構成するメンバーそれぞれに明確な役割を与え、その役割が充分果たせないと活動が進まず成績も出ないように授業を設計しました。


 こうすることで、一人の脱落者もなく学生全員の積極的かつ協調的な授業参加を促すことができるわけです。


 グループ分けに続いて、絵本「桃太郎」のカラーコピーを留学生全員に配りました。


「『桃太郎』の話、知ってる?」


 ちらほら。大半はあまり知らないようです(国文なのに、うぅ・・)。


「日本の子どもはこんな本を読んでいるのか。」

「日本語の教科書とはぜんぜん違う。」


 彼らは興味深げにページをめくりながら、誰からとなく読み始めました。


 そこで私は、グループのメンバー一人一人に、絵本を朗読する役、分からない言葉を調べる役、話を聞く子ども役を与え、読み聞かせの練習をするよう指示しました。


 すると学生は面白がって日本語の授業では出さないような大きな声で読み始めました。


 絵本だけに難しい言葉はほとんどなく、せいぜい「桃太郎どん」の「どん」、「頭のはち(=頭蓋骨のこと)」ぐらい。留学生でもすらすら読めます。


 なかなかいい感じ。


 と、ある中国人留学生が、


「ム・カ・シ、ム・カ・シ、ア・ル・ト・コ・ロ・ニ、オ・ジ・イ・サ・ン・ト……。」


 絵本をにらみつけながら読んでいた。


「ちょっと、もしもし。こわいよ。」


 と、私が言うとクラスは大爆笑。


 よし、つかんだ!


 私は内心、ホッと胸をなでおろしました。


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(3)「授業初日(後編)留学生、どん引き」

スポンサードリンク




「先生、幼稚園の子どもと何をしますか。」

「紙芝居の読み聞かせをするんです。皆さん幼稚園に行ったことがありますか。幼稚園の子どもと話したことがありますか。」


 ほとんどの学生は未経験。


「子どもの日本語は大人や教科書の日本語と違います。いろいろな日本語に触れるチャンスです。日本の教育制度の理解にもつながります。こんな経験はなかなかできません。皆さんの人生にも必ずプラスになります。どう?やってみよう。」


  興味を示す学生もいれば、あからさまにやりたくないという顔をする学生もいます。


 中には「私、漢字分からない。」と漏らす非漢字圏出身の留学生も。大丈夫、ひらがなばっかりだから。


 さらに話を続けます。


「それだけではありません。みなさんにも紙芝居を作ってもらいます。そしてそれで読み聞かせをします。いい紙芝居ができたらそれを絵本にして出版します。どうですか?さあ、みなさんがんばりましょう。」


「はあ?」

「紙芝居を作る?」

「出版する?」


 ある者は意味もなくノートをめくり始め、ある者は深くうなだれました。またある者は笑顔のまま固まっています。


 一瞬走る沈黙。


 とうとう、この空気に耐えられなくなくなった留学生が、


「とにかく、がんばってみましょう。」


 ここで時間になりました。とりあえず今日の授業は終わり。


 さて、これからどうやって授業を建て直し、彼らをその気にさせるか。


 その時は、まるで自分で自分の首を絞めているような感じでした。


 その時は。


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(2)「授業初日(前編)留学生、凍る」

スポンサードリンク




今日は授業の第1回目。事前の連絡が徹底していたためか全員出席。


 まずはじめに、履修科目の登録指導を行います。


 日本人学生でもそうですが、特に留学生の場合、自分にあった履修科目を選択し、登録用紙に記入して教務係に提出するという一連の行為を正確に行うのは、なかなか難しいものがあります。(ちなみにこれは2年前の話。現在はWEB登録システムになっています。)


 ここでつまづいてしまうと、後々までやっかいな問題がつきまとう。


 例えば、・・・


 自分の時間割がなかなか決まらない、

 うっかり必修科目を履修していなかった、

 せっかく試験まで受けたのに単位がなかった、などなど。


 場合によっては卒業認定に引っかかることもあります。


 そこで私の場合、受け持ちの留学生の履修パターンを予め調べておいて、パターン別に雛形を作ることにしています。


 そして、履修指導時には留学生にその雛形を写させ、その日のうちに教務課に提出するのです。


 2〜3週間ほどすると、学生一人一人の時間割(学生配布用)が教務課から打ち出されます。それを学生に配布する前に再度チェックし、もし誤りがあれば教務課に修正してもらう。


 こうして登録ミスがないことを確認した上で学生に配布し、本人にも履修内容を確認させるのです。


 一見めんどくさそうですが、この一手間を惜しまずやることによって、私も留学生も後々やっかいな問題に振り回されることなく、スムーズにそれぞれの活動を軌道に乗せることができるというわけです。


 このことは教師と留学生の信頼関係を築く意味でも非常に重要で、このような事務的作業をきっちりこなせる教員には、留学生も大きな信頼を寄せます。


 一連の事務作業を終えて、本題へ。授業内容を説明します。


「この授業では日本語の勉強はしません。教科書もありません。この授業のテーマは、『地域交流』です。みなさんは日本人と交流したいですか。」


 留学生から

 「それ、いいですねえ。」

 「楽しそうです。」

 といった声が出る。今のところ、つかみはオッケー。


 そしてある留学生が聞いてきました。


「先生、誰と交流しますか。」

幼稚園の子どもです。」


 「え?」

 「なにそれ」。


 教室に一瞬重たい空気が走る。一同唖然とする。


 それもそのはず。彼らが日本人との交流と聞いて即座に思い浮かべるのは、日本人学生や社会人との交流だからです。


 大学生が幼稚園の子どもと交流していったい何の意味があるのか。


 日本語が下手だからといってそこまでバカにしなくてもいいじゃないか。


 その時は、そういう風に感じた留学生も少なからずいたのではないかと思います。


 その時はね。


(本シリーズは、サイト「日本語教師篠崎大司研究室」で連載したものに若干の加筆・修正を加えたものです。だから、先を見ないでくださいね。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(1)「厄介な授業」

スポンサードリンク




 今回から新シリーズです。


 私が平成17年度から行っている「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の、まさに初年度の授業の様子をご紹介します。


 この活動は、留学生が自国の昔話で紙芝居を作成し、幼稚園で読み聞かせをするというもの。


 この活動を通して、日本人との国際交流を図ること、そして日本語力の向上も目指すのが目的です。


 今年で3年目になりますが、だいたいこんな感じで和気あいあいとやってます。


 留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動


 「地域の外国人といっしょに国際交流活動をやってみたいんだけど、いいアイデアが浮かばない。」という方、参考にしていただければ幸いです。


 第1回の今日は、「厄介な授業」です。


 まずは、開講に先立って授業の位置づけやこれまでの様子について書こうと思います。


 別府大学文学部国文学科では、学科に在籍する留学生について学年ごとに担任を割り当て、週に1コマ開講される「応用日本語」の中で、授業の出席状況や生活状況の把握及び生活面から学習面まで様々な指導を行っています。


 私も17年度から、2年生(学生の数が多いので2グループに分け、他の先生と分担。授業は別々に開講。)の担当となり、「応用日本語U」を受け持つことになりました。


 私が担当する留学生は、全員で15名。内訳は中国12、台湾1、スリランカ1、バングラディシュ1。


 彼らは月曜から金曜の1限目から3限目まで(従って15コマ/週)は国文学科の中にある日本語課程で日本語を勉強します。


 そして、週に1回、火曜4限目に開講される「応用日本語U」に出席します。


 留学生の状況の把握や事務連絡等は、長くても30〜40分程度。その後の授業内容は当然のことながら担当教員に任されています。


 さて、この時間をどう使うか。


 これまで担当された先生方の多くは、日本語の指導にあてていたようです。


 それで、授業の様子などを他の先生方に聞いてみたところ、やはり随分苦労なさってきたようでした。


 最大の理由は、留学生の日本語力が一様ではないこと。初級レベルの学生から上級レベルの学生まで、様々なレベルの学力を持つ留学生が授業に参加します。


 従って授業のレベル設定がかなり難しく、どんなレベルに設定しても必ず「落ちこぼれ」や「浮きこぼれ」が出てくる。


 さらに、教員の専門性をどうからませるかを考えると、ますますわけがわからなくなってしまう。


 ちなみに私の専門は日本語教育学。


 学生は週15コマも日本語の勉強をしているわけで、その上さらに4限目まで日本語の勉強では、あまりにも芸がなさ過ぎます。


 では、どんな授業設計をすれば、日本語力に関係なくすべての学習者(そして私も)が満足でき、科目としても充実したものになるのか。


 「どうしよ。」


 しばらく私はなす術もなく、ボーっとしていました。


(本シリーズは、サイト「日本語教師篠崎大司研究室」で連載したものに若干の加筆・修正を加えたものです。)

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

ホントは簡単!会話の授業(最終回)「最後は自分のノウハウを築く。」

 さて、これまで「ハードル競走」型会話指導について、授業の準備から評価の仕方にいたるまで(半ば思いつくままに)書いてきました。


 書くべきことはだいたい書いたので(かなり漏れてるでしょうけど)、今日は言い残したことを(これまた思いつくままに)書いてみようと思います。


 今回紹介したタスクは、どちらかというと一問一答的な、割とシンプルなコミュニケーションスタイルです。


 なので、想定した学習者は、初級から中級レベルです。


 上級レベルでもやってできないことはないと思いますが、これぐらいのレベルになると、段落レベルの会話力養成が求められます。


 彼らの知的欲求を満たすことを考えても、もう少し複雑な仕掛けが必要ではないかと、漠然と考えています。


 しかもこのタスクは、依頼とか勧誘といった交渉力を養うのには向いていますが、


 趣味について語り合うとか、何気ない雑談といった会話そのものを楽しむコミュニケーションには向きません。(そういう会話にハードルはいらない。)


 どんなタスクにも強みもあれば限界もあります。


 要はそのタスクの強みと弱みを十分理解する必要がある、ということです。


 それから、このシリーズは会話の授業が超苦手な先生を思い浮かべながら書きました。


 教師も人間だから得手不得手があって当然ですが、できれば仕事であまり嫌な思いはしたくない。


 そんな状況から抜け出すきっかけというか突破口を提供できればいいかな、と思って書いた次第です。


 だから、これを読んできた方の中には、


 「もっとおもしろい方法があるのに・・・。」


 とか、


 「まだ、詰めが甘いな。」


 と感じた方もいらっしゃるかもしれません。


 そういう方は、「私って、ちょっとだけ先輩先生かも・・・。」と思っていただければと思います。


 ところで、私が会話の授業のどこにおもしろさを感じるかというと、


 やっぱり、ハプニングです。


 こちらが事前に話題とそれに見合ったハードルを考えて、「多分このハードルなら、こう応えるだろう。」と予想するわけですが、


 それとは全然違った予想外のことを言ってくる。


 「そうくるか?」


 で、クラス全体が爆笑の渦となり、


 と同時に、「この時こそ!」のとっておきの表現を(ちょっと難しいものでも)紹介すると、学習者は余計な説明なしでダイレクトに吸収する。


 このあたり、他の授業ではなかなか見られない、会話の授業ならではの醍醐味です。(なかなかないですけどね。)


 だから、会話の授業について言えば、あまり精密な仕掛けではなく、ある程度ゆったりした授業設計のほうがうまくいくようです。


 あまり細かく設計すると、窮屈すぎて結果的に会話を殺してしまうから。


 それから、会話の授業をモノにするコツは、(というか何でもそうでしょうけど。)


 最終的に自分なりのノウハウを築くということだと思います。


 先人のワザをパクりつつ、自分なりの味付けを加えていき、さらに現場で練っていく。


 そうやって、少しずつ自分なりのノウハウ、自分にしかできない授業を築いていくことが大切ではないかと思います。(その方がやってておもしろい。)


 「ハードル競走」型会話指導も、そのための踏み台にしていただければありがたいです。


 「会話なら、●●先生の授業が最高!!」


 学習者からそう言われたら、100年の苦労も吹っ飛ぶというもの。


 少しずつ、できるところから頑張っていきましょう。(私も。)


 ◇   ◇   ◇


参考文献:
『OPIの考え方に基づいた日本語教授法―話す能力を高めるために』

『ACTFL‐OPI入門―日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』


スポンサードリンク

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

ホントは簡単!会話の授業(9)「どうやってテストするか?−評価の観点」

 本日も取り急ぎ。


 さて、皆さんは会話のテストの時、どんな項目を立てて採点しますか。


 というのは、「どういう項目を立てるか」は、とりもなおさず「教師がコミュニケーションのどういう側面を重視しているか」に繋がる大事なことだからです。


 例えば、文法、語彙、発音、内容、発話量、・・・


 もちろん、こういった項目も大切です。


 いくらいいことを言っても、発音がめちゃくちゃならかなり苦しい会話になるでしょうから。


 ところで、ここでちょっと考えたいのは、


 人はなぜコミュニケーションをするのか。何のためにコミュニケーションをするのか。


 ということです。


 正しい文を言うため?


 正しい発音をするため?


 内容のいいことを言うため?(私はこれに一票!)


 そう考えてみると、なぜコミュニケーションをするのかというと、


 相手の考えをしっかり知るためであり、


 その上で自分の考えを相手にしっかり伝えるためであり、


 そんなやりとりを通じて、自分の思い通りに相手に何らかのアクションを起こさせるためではないでしょうか。


 具体的に、それは・・・


 友人から試験科目のノートを借りることであり、


 アルバイトの面接で好印象を与えてアルバイトをゲットすることであり、


 好きな人といっしょにカラオケに行くことであるわけです。


 当然、採点方法もそれを反映したものの方が、はるかに現実に沿っている。


 学習者がどんなときに自分の会話力に自信や喜びを感じるか、を考えてみても納得のいくことではないかと思います。


 そう考えると、文法とか語彙とか発音とかは、あくまでもそういった目的を果たすための手段に過ぎないと言えるわけです。


 「そんなの、当たり前じゃないか!」(そんな声が聞こえてきそうです。)


 にもかかわらず、どういうわけか試験となると、文法とか発音とかに重点をおいてしまう。


 一種の職業病なのか、あるいは今までダイレクトに会話の目的達成度を数値化する有効な手段が考えつかなかったからなのか?


 「ハードル競走」型会話指導は、こういったコミュニケーションの目的達成度を、単純に、越えたハードルの数で測ることができます。


 配点は、100点満点のうち70点ぐらいをそれにあてる。残りの30%を文法とか発音とかの配点にあてる。


 もし、試験の時、こちらの問いかけに学習者が意味不明な文法で応えてきたら、「?」と何も言わずに待ってみる。


 それを察して、正しい文法の文や、あるいは別の言葉に言い換えたりすれば、それも立派なコミュニケーション能力。


 それでもってハードルを越えれば、問題なくクリア。(まるでバイクの実技試験。)


 会話の授業が苦手という方の多くは、「どう評価したらいいのかわからない。」という考えをお持ちのようです。


 確かに、突き詰めて考えていけば、それなりに奥の深いものがあると思います。


 でも、ある程度パターン化できる部分もあるかと思います。


 参考にしてみてください。


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「ホントは簡単!会話の授業」は、・・・


 明日、考えよっと。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
『OPIの考え方に基づいた日本語教授法―話す能力を高めるために』

『ACTFL‐OPI入門―日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』


スポンサードリンク




日本語能力試験1級対策文法

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

ホントは簡単!会話の授業(8)「ハードル競走型会話指導実例集−初級編」

 本日は、取り急ぎ。


 これまで、「ハードル競走」型会話指導について説明してきました。


 今日は、その実例として初級のタスク例をご紹介します。


 入門〜初級の場合、日本語で会話をすること自体、学習者にとっては大きなハードルなので、学習者がまだ慣れないうちはあまり凝ったハードルにせず、


 メインテキストにあるような会話を使って、数課分の復習活動といった位置づけで授業をするといいかもしれません。


 ただ、場面設定だけは、学習者の興味をひきつけるものにすると効果的です。


指導例:アルバイトの面接

ロールカード(このタスクなら、いらないかも。)

A:あなたは学生です。今日はアルバイトの面接です。店長
  の質問に応えてください。

B:あなたはお店の店長です。学生の面接をします。学生に
  質問してください。


=   =   =

<会話例>

A:よろしくおねがいします。(椅子に座る)

B:名前は?

A:シイダ・キザノシです。

B:国は?

A:×△です。

B:外国人登録証、ある?

A:はい。(外国人登録証を出す。)

B:あ〜。今年来たばかりなんだね。
  日本語、大丈夫?

A:時々分からないことがありますが、日常会話なら大丈夫
  です。(この言い方、授業で導入。)

B:今まで日本でアルバイト、したことある?

A:いいえ、初めてです。

B:あ、そう。
  アルバイトは、いつできる?

A:月ようびから金ようびは、9時から2時半まで授業があ
  ります。その他は、いつでも大丈夫です。

B:あ、そう。うちは平日は忙しくないんだよ。日曜日は休
  みだし・・・。まあ、週1回だけど、がんばってよ。

A:はい、よろしくお願いします。(この言い方も、授業で
  導入。)

B:あ、え〜と、名前なんだったっけ?(←不意打ち質問)

A:えっ、あっ、シイダキザノシです。

B:そうだったね。じゃ、これで終わります。


(その後、「何曜日にアルバイトをしますか?」と書いた4択問題のワークシートに記入させる。)

=   =   =


 「これなら、私もやったことある。」


 そういう方、多いかもしれません。


 そう、「ハードル競走」型会話指導は、何も特別な指導方法ではないのです。


 だから、誰でもできます。


 「アルバイトの面接」は、日本国内で勉強する留学生にとってはかなり関心の高い場面です。


 ちなみに私が授業でこれをやった時、学習者は抜群に食いついてきました。授業も盛り上がった、盛り上がった。


 よかったら、使ってみてください。


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「ホントは簡単!会話の授業」は、・・・


 明日、考えよっと。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
『OPIの考え方に基づいた日本語教授法―話す能力を高めるために』

『ACTFL‐OPI入門―日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』


スポンサードリンク

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

ホントは簡単!会話の授業(7)「このツッコミが学習者を鍛える」

 前回のブログでは、会話の場面に沿ったロールカードを作成し、学習者の会話力を引き上げる仕掛けとしてのハードルを作るところまでやりました。


 授業の準備としては、これでほぼOKです。


 というわけで、いざ授業へ突入!!


 授業の進め方はいろいろあると思いますが、私の場合、こんな感じで進めます。


 1.扱う話題について軽く話し合う。

 2.ロールカードのA役の方だけ配る。(掲示用に拡大し
   たものを用意してもよい。)内容を確認する。

 3.学生の一人を引っ張り出して、B役を教師が演じなが
   ら、ロールプレイをやりながら、「こんな時、なんて
   言う?」とクラス全員を巻き込みながら、文型・表現
   を学習者のレベルに合わせて随時導入しながら、適宜
   板書しながら、談話をつむいでいく。

 4.ロールカードのB役の方を配り、学習者同士ペアで練
   習させる。一通り終わったら役を交代する。


 5.教師が、さっきと違う学生を一人(時間があれば数人
   )引っ張り出して、同様にモデルロールプレイをし
   てクリニック。ここでさらにおもしろい文型や表現を
   加えてもよい。(この後、ペアを変えてさらに練習さ
   せてもよい。)

 6.勉強した文型や表現をおさらいして終わり。


 で、ここからが本題。


 どのように指導をすれば、学習者の会話力は伸びるか。指導のポイントはどこか?


 前回のブログで、私はこんなことを書きました。

=   =   =   =

 ロールカード作成のコツですが、(タスクの内容にも依りますが)私は以下の点は盛り込むようにしています。


1.場所(=図書館)
2.背景(=来週テストがある)
3.AとBの人間関係(=友達)
4.場面・タスク(=ノートを借りる/断る)
=   =   =   =


 実は、これが指導のポイントとして大いに使えます。


 つまり、


1.場所をわきまえた物言いができているか。

2.背景を理解した上で、適切な判断ができているか。

3.人間関係をわきまえた表現ができているか。

4.タスクをちゃんと遂行できているか。


 だから、授業では、


「図書館なんだから、もっと静かに話しなさい。」とか、

「友達もいないし、試験も近いんだから、必死でお願いしなさい。」とか、

「友達同士なんだから、『貸していただけませんか。』は丁寧すぎます。」とか、

「相手がダメといっても、諦めないでいろいろアイデアを出して、借りられるまで頑張りなさい。」とか、

 いろいろツッコミを入れることで、学習者を鍛え上げることができるわけです。


 そして、さらにさらに会話の指導という点から言えば、上の4項目だけでなく、私はさらに以下2つの点も注意して指導するようにしています。

 5.非言語動作(ノンバーバル・コミュニケーション)

 6.談話構成


 5については、例えば「アルバイトの面接を受ける」というタスクの場合、面接を受けに来た学生の態度−椅子に座るタイミングとか、座った時の姿勢とか、顔の表情とか−というのが非常に大切なわけです。


 だから、そういった部分も漏らさずツッコミを入れながら指導する。


 6については、例えば「試験前にノートを借りる」というタスクの場合、「○○の授業のノートを貸してください。」といきなり本題に入ることはないわけで(学生、よくやりません?)、


 「ちょっと、今いい?」とか「実は、ちょっとお願いしたいことがあるんだけど。」といった導入部分を入れなければあまりにも唐突過ぎます。


 同様に、本題の後も「よかった。おかげで助かったよ。」と言った締めの表現があるのが自然でしょう。


 このあたり、学習者・教師ともに意識の死角になりやすいだけに、しっかりツッコミを入れて指導します。


 会話の指導のポイントは、考えればいくらでも出てくると思いますが、ひとまずこれだけ押さえておけば十分だと思います。


 ただ、一つ気をつけていただきたいのは、調子に乗って、学習者の自尊心を傷つけたり、不快にさせるようなツッコミは絶対しないこと。


 指導は、あくまでも誠心誠意が基本です。


 会話の指導に自信がない方は、予め「このタスクだと、学習者はどんな会話をするだろうか。」と授業をシュミレーションしてみて、


 「じゃあ、こんなツッコミができるかな。」と、ある程度予測した上で授業に臨むといいかもしれません。


 この授業に慣れてくると、ロールカードとハードルの用意だけしておけば、いちいちシュミレーションしなくてもなんとかなるようになります。


 そうなるとしめたものです。


 それから、授業のあと、どんな文型・表現を指導したかリストアップしておいてください。(試験の設計の時に必要です。)


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「ホントは簡単!会話の授業」は、・・・


 (8)「ハードル競走型会話指導実例集−初級編」です。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
『OPIの考え方に基づいた日本語教授法―話す能力を高めるために』

『ACTFL‐OPI入門―日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』


スポンサードリンク

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

ホントは簡単!会話の授業(6)「レベルの調整はハードルの高さと量」

 さて、前回は場面設定が会話の授業ではとても重要だってことを書きました。


 次に用意することは、場面に合ったロールカードを作るということです。


 例えば、中級レベルの留学生が出会う場面として「試験前にノートを借りる」があるとすると、

〈ロールカード:中級〉

A:ここは図書館です。来週テストがあります。ですが、あ
  なたは授業にあまり出ていません。友達のBさんにノー
  トを借りてください。

B:ここは図書館です。来週テストがあります。友達のAさ
  んがあなたのノートを借りに来ました。できるだけ断っ
  てください。


 と、ざっとこんな感じになるでしょうか。


 ロールカード作成のコツですが、(タスクの内容にも依りますが)私は以下の点は盛り込むようにしています。


1.場所(=図書館)
2.背景(=来週テストがある)
3.AとBの人間関係(=友達)
4.場面・タスク(=ノートを借りる/断る)


 で、今度はハードルを決めます。


 このハードルの設定がタスクのキモの部分。非常に重要です。


 場面設定もタスクのレベルに影響しますが、ハードルの設定こそがタスクのレベルを決定的なものにします。


 ハードル設定によるレベル調整の基本は、その高さと量です。


 「量」については、とりあえず10個ぐらい用意しておくといいと思います。後は学習者の出方によって調整してください。


 「高さ」とはハードルの難易度な訳ですが、ハードルの種類は概ね以下の3種類ぐらいかなと考えています(これはあくまでも私のレパートリーです。)


5.疑問文
6.「それ、無理。」的発言
7.不意打ち質問
8.相手の言動へのツッコミ


 「5.疑問文」は最も一般的なハードルです。


 もちろん、質問の内容によってハードルの高さを調整することもできますが、疑問文のタイプでもかなり調整は可能です。


a.Yes-No疑問文
b.選択疑問文
c.疑問詞疑問文
d.「なぜ/どうして」疑問文(いわゆる理由要求の疑問文
  )
e.「それ、どういうこと?」疑問文(いわゆる説明要求の
  疑問文) 


 質問のレベルでいうと、aが一番やさしくeが一番難しいのが分かるでしょうか。


 だから、(タスクのレベルによりますが)タスクの始めはa〜cぐらいにして、時々d(あるいはe)を持ってくるといいかなということになります。


 しかし、疑問文ばかりのハードルだとまるで警察の職務質問みたいで、ちょっと不自然。そこで次のハードルが、


6.「それ、無理。」的発言


 です。


 これは、Aの要求を頭から突っぱねるような発言で、例えばこういうのです。


A:ノート、貸して。
B:いつ?
A:今。
B:今?今日、持ってきてないんだけど。(←これ)
A:え!・・・じゃあ、明日はどう?


 ハードルのレベルはそこそこ高いんじゃないかと思います。Aは即座に対案を出さなければならないからです。


 中級ぐらいになると、この手のハードルをじゃんじゃん出していくと、結構面白いタスクになると思います。


 次に「7.不意打ち質問」です。


 例えば、「試験前にノートを借りる」というタスクで言うと、一通り会話のやり取りを行った後、Bが


 「え〜と、で、何の講義のノートだったっけ?」


 と、会話の最初の方の内容を再度確認するようなタイプの質問です。


 質問の内容自体はそんなに難しくないはずですが、会話の流れと全く関係なく出される、文字通り不意打ちの質問である分、Aにはそれなりの対応力が求められます。


 最後は「8.相手の言動へのツッコミ」です。


 例えば、


A:ノート貸して。
B:いやだよ。僕も使いたいんだから。
A:お願い!他に友達いないんだ!
B:静かに!ここは図書館だよ。(←ここ)


 自分の言動を不意に注意されると、得てして人は動揺するものです。


 このハードルの狙いは、動揺しないでちゃんと対応できるかどうかという点です。


 これは、タスクの中に1つあるかないかぐらいでいいと思います


 いかがでしょうか。


 後は、実際に学習者の顔を思い浮かべて、「この質問なら、学習者は応えられるかなあ。」と考えながら、「応えられる。」「頑張ったら応えられる。」、「どうかなあ?」ぐらいのハードルを用意するといいと思います。


 おっと、最後に一言。


 「ハードルは、言葉は易しく、内容は難しめ。」


 まずは、前回の宿題の場面にあったハードルを10個、考えてみてください。


 とても貴重な財産になると思います。


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「ホントは簡単!会話の授業」は、・・・


 (7)「このツッコミが学習者を鍛える」です。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
『OPIの考え方に基づいた日本語教授法―話す能力を高めるために』

『ACTFL‐OPI入門―日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

ホントは簡単!会話の授業(5)「会話の授業は場面が命!」

 前回は、「ハードル競走」型会話授業の基本パターンを紹介しました。


 簡単に言うと、Bはハードルを敷く役、Aはそのハードルを越える役。


 OPIだとタスクによっては「学習者同士でできるかな?」というものもたまにありますが、役割分担をこれぐらいに単純化しておくと、学習者同士に任せても大丈夫です。(最悪、Bのロールカードにハードルをリストアップしておき、ランダムに出すように指示しておいてもいいわけです。)


 ただ、この「ハードル競走」型会話授業は、だいたい中級レベルまでがいいとこかな、と今のところ考えています。(あくまでも私のチョウ個人的な経験値での判断)


 というのは、中級までの会話力というのは、レベルの差こそあれ、概ね日常ありがちな事柄についてうまく対処できるかがポイント。


 一方、上級以上のレベルになると、「原発の是非」とか「性の社会的役割」といったかなり抽象的な話題について、論理的かつ段落レベルで自分の意見が言えるかどうかがポイントになってきます。


 ちょっと、ロールプレイにしにくいかな。


 さてさて、ともあれこの「ハードル競走」型会話授業を設計する時に一番重要なのは、場面シラバスをベースにするということです。


 ここは非常に重要です。


 「こんな時、どうする?」と、まず場面を示してやると、学習に説得力が出て、学習者はスッと会話に入っていけます。


 で、その場面に依頼とか断りといった機能(タスク)を乗っければ、それがハードルを越える原動力になります。


 で、機能にあった文型を示してやると、首尾よくハードルを越えていく。


 優先順位を図示するとこんな感じ。(左に行くほど大事。)


 場面>機能>文型


 『みんなの日本語』に慣れている方にとっては、ちょっと違和感があるかもしれません。優先順位が見事なくらい逆だからです。


 でも、よくよく考えてみれば、私達が会話する場合も、文型から入るって事はないですよね。やっぱり場面があって、その場面にあった表現を口にしているわけで、


 そう考えると、「場面>機能>文型」は至極理に適っているといえると思います。


 次に、授業設計で大切なのは、


 どんな場面を取り上げるか?


 ということです。


 でも、これはそんなに難しいことではありません。


 学習者が日頃出会う、言葉を使わなければならない場面を取り上げればいいのです。


 日頃どう言ったらいいのか戸惑ってしまうことが多いような場面なら、なおよしです。


 例えば、学習者が留学生なら「友達にノートを借りる。」とか・・・。


 そこで、今回より新企画。


 実践力養成と授業ネタの共有を目的に、今回から宿題を出します。


 このメルマガをお読みの皆さんは、基本的に全員参加です。課題はコメント欄に書いてください。


【宿題】
 あなたのクラスで会話授業をする場合、どんな場面が考えられますか。1つあげなさい。(学習者のタイプ・レベルも明記のこと。)

 まだ、クラスを受け持っていない方は、初級レベルだとどんな場面が考えられますか。1つあげなさい。


 楽して他人のアイデアをパクるのはなしです。皆さん、考えてみてください。


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「ホントは簡単!会話の授業」は、・・・


 (6)「レベルの調整はハードルの高さと量」です。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
『OPIの考え方に基づいた日本語教授法―話す能力を高めるために』

『ACTFL‐OPI入門―日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

ホントは簡単!会話の授業(4)「実録!ハードル競走」

 今日は、「ハードル競走」型会話授業が授業でやるとどうなるか、その実際をご覧(?)いただきます。


 といっても、今回は実際の授業の様子といっても、「ハードル競走」とはどういう意味なのか、その基本的なパターンです。


 実際の授業はもっと複雑になるはずです。


 でも、基本的なパターンさえ押さえておけば、授業ではパターンを幹としていくらでも枝葉を膨らますことができるし、脱線してもすぐ元に戻すことができます。


 「ハードル」とは、会話タスクの途中途中に作ったちょっとした障害です。で、それを乗り越えられるかどうかで学習者の会話力をみるわけです。例えば、こんな感じです。


タスク(ロールプレイ):「友人をカラオケに誘ってください。」

(A:学生、B:教師)

A:○○さん、今日カラオケに行きませんか?

B:いいですねえ。
  あ、でも、今日アルバイトがあります。(←ハードル)

A:え・・・!じゃあ、明日は?(第1ハードルクリア!)

B:あした?あしたは大丈夫です。
  あ、でも、おかねがありません。(←ハードル)

A:え!・・だ、だいじょうぶですよ。
  あのカラオケ屋は500円ですから。
               (第2ハードルクリア!)

B:そうですか。いいですねえ。
   あ、でも、私日本の歌はわかりません。(←ハードル)

A:歌わなくてもいいです。
  聞くだけでいいですよ。(第3ハードルクリア!)

B:そうですか。よかった。
   でも、私お酒はダメです。(←ハードル)

A:は?・・だ・・大丈夫。ジュースがあります。
           (第4ハードルクリア!)

B:そうですか。じゃあ、いきましょう。(←ゴール)


 分かりましたでしょうか。これが「ハードル競走」型会話授業の基本です。


 授業では、最初に教師×学習者でモデルをやって、学習者がつまづくたびに「この時、なんと言いますか。」と問いかけ、語彙や文型を導入しながら談話を作っていきます。


 その後、ペアで会話練習をさせます。


 このやり方だと、タスクのレベルを調節することで大体の学習者に対応できますし、会話の試験も採点しやすくなります。


 感じとしては、質問やツッコミで学習者を右に左にいなすようなイメージです。


 いなされて驚いたりちょっと困ったりする学習者の顔を楽しめるようになったら、教師としてはしめたものです。(人間としていかがなものか・・。)


 会話の授業が苦手な方は、上の例を一人でぶつぶつ言いながら何度かシュミレーションしてみてください。


 すぐ慣れます。


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「ホントは簡単!会話の授業」は、・・・


 (5)「会話の授業は場面が命!」です。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
『OPIの考え方に基づいた日本語教授法―話す能力を高めるために』

『ACTFL‐OPI入門―日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

ホントは簡単!会話の授業(3)「ハードル競走って”なんちゃってOPI”」

 会話の授業の進め方は「ハードル競走」をイメージすると分かりやすい、と前回書きました。


 ところで、会話の授業といって真っ先に思い浮かぶのが、「ACTFL−OPI」(「アクトフルオーピ−アイ」と読みます。)ではないでしょうか。


 これから述べる「ハードル競走」型会話授業は、このOPIで使われるワザをふんだんに使わせていただいています。


 「うぉー、いきなり難しそう。」


 そう思うかもしれませんが心配いりません。簡単です。


 私自身、OPIに関してはズブの素人です。テスターでもなければトレーニングを受けた経験もありません。


 せいぜい下の参考文献を読んだ程度です。(ちなみに下で紹介している参考文献は2冊とも本当にいい本です。買って読んで損はありません。)


 だから、「ハードル競走」型会話授業は、私が本を読んで、授業で使えそうな(自分がやり切れそうな)ところだけ都合よく拝借した、


 いってみれば”なんちゃってOPI”です。


 それぐらいの気安さです。


 その程度のもですから、苦手意識を持っている方でも必ずできます。要は慣れです。


 でも、効果は絶大です。


 授業のベースはにロールプレイです。学習者にロールカード(課題)を渡して、いきなりやらせます。


 そうすると、学習者はどこかで必ず、言葉が出てこないとか、文法は正しいが不自然な言い方をしてしまったとか(これを「言語的挫折」と言います。)といったことが出てきます。


 その時に、正しい言い方、適切な表現を提示すると、学習者は勢いよくそれにパクつく。(なんかパン食い競走みたい。)


 これを「タスク先行型ロールプレイ」といいます。


 ポイントは、


 いきなりやらせる(タスク)→文型・文法等の指導(シラバス)


 という順番です。


 この発想は、とても重要だし、しかも画期的です。


 『みんなの日本語』とは、逆のパターンです。


 『みんなの日本語』の指導パターンは、


 文法・文型の指導(シラバス)→練習A〜C、会話練習(タスク)


 それだけに、なまら経験のある教師にとっては、スッと入りにくいかもしれません。


 でも、慣れればどうということはありません。


 「ということは、学習者がどんな間違いをするかによって、指導する文型が変わるってこと? それじゃ、授業の準備のしようがないじゃん。」


 そうです。出たとこ勝負です。(というか、緻密な準備はむしろ不要。)


 「それって、かなりきつい。」


 そう思うかもしれません。でも、いざとなったら、


 「その時は、△△△とは言わないで、◇◇◇と言います。」


 と、難しい文法の説明なしに、ひとかたまりの表現として教えてもOKです。


 そう考えれば、気楽なものです。


 とにかく、OPIに基づいた「タスク先行型ロールプレイ」で授業をすると、


●ハラハラ、ワクワク感を演出できて、授業が活発になります。

●自分の不十分な部分をオンデマンドで勉強できるので、満足度が高まり、積極的に授業に参加するようになります。

●(結果的に)学習者の会話力の不十分な部分から優先的に教えることができます。


 これだけのメリットがあるなら、使わない手はないのではないでしょうか。


 ”なんちゃって”の割りには、結構イケます。


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「ホントは簡単!会話の授業」は、・・・


 (4)「実録!ハードル競走」です。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
『OPIの考え方に基づいた日本語教授法―話す能力を高めるために』

『ACTFL‐OPI入門―日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

ホントは簡単!会話の授業(2)「苦手克服の鍵はシンプルな授業パターン」

 今回は取り急ぎ。


 前回は、テキストとある程度距離を置くことが、会話の授業を成功させる上で大切なポイントであると書きました。


 実際、テキストに集中すると、学習者はテキストの文字にとらわれてしまい、会話どころではなくなってしまいます。


 テキストを伏せて学習者同士の会話活動に行こうとしても、学習者は何かにつけテキストに頼ろうとするので、やっぱり会話が続かない。


 そう考えると、こと会話の授業に限っていえば、学習者にテキストを持たせるというのは、あまりそぐわないのかもしれません。


 「ただでさえ、会話の授業が苦手なのに、その上テキストまで取り上げられたら、どうしていいのかわからない。」


 確かにそうです。では、どうするのか。


 結論から言えば、頼るべきはテキストではなく、授業パターンです。


 「どんなテーマでも、このパターンに沿ってやれば、授業の準備もスムーズだし、授業そのものもうまくいく。」


 そんな授業パターンを持つことが、とても重要だと思います。


 しかも、できるだけシンプルなもの。(基本はシンプル。これ鉄則!)


 シンプルな授業パターンを持っておけば、何よりも「これに頼れば大丈夫。」という安心感・心のゆとりが出てきます。


 心にゆとりが出てくると、少しずつアドリブが出るようになってきます。


 シンプルであればシンプルであるだけ、その指導方法をマスターするのも早い。


 一定の技をマスターすれば、また心にゆとりが出てきて自分なりに工夫しようとします。


 その工夫が授業でハマれば、喜びに変わる。


 好循環です。


 つまり、さっさと必勝パターンを身につけるということが、とても大切なのです。


 では、その必勝パターンとは何か?


 イメージは、「ハードル競走」です。


 「あれ? 障害物競走じゃなかったの?」


 すみません、こっちのほうが適切な比喩です。


 今日はここまで。


 時間のある方は、下の参考文献をパラパラパラっと見ておいてください。


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「ホントは簡単!会話の授業」は、・・・


 (3)「ハードル競走って”なんちゃってOPI”」です。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
『OPIの考え方に基づいた日本語教授法―話す能力を高めるために』

『ACTFL‐OPI入門―日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

ホントは簡単、会話の授業(1)「なぜ苦手なのか?」

 さて、今回から新連載。「ホントは簡単!会話の授業」を始めます。


 以前、このブログでも「会話の授業は障害物競走?」で私なりの会話の授業のやり方を紹介しました。


 この連載では、もう少し詳しく解説していきます。


 ところで、会話の授業は好きですか?


 「すっごい好き。やってたら止まらなくなる。」


 という方は、問題ありません。じゃんじゃんやってください。(もしかしたら、ある意味危険かも。)


 ですが、特に経験の浅い先生にとっては、


 「うわー、どうしよう?」

 「どうしたらいいのか分からない。」


 というのが正直なところではないでしょうか。(かつての私もそうでした。)


 で、そんな心得で授業をしてもうまくいくわけがなく、


 「会話が全然盛り上がらない。」

 「気がついたら、テキストを読んでるだけの白けた授業で終わってしまった。」


 と、負のスパイラルにはまり込んでしまい、ますます苦手意識を持ってしまう。


 「だって、私、アドリブ利かないし、話すの苦手だもん。」(落ち込まないで!みんな始めはそんなもんです。)


 なぜ、会話の授業はうまくいかないのでしょうか。


 「ちゃんとテキストに沿って授業をやっているのに・・・」


 そこ!! 実はそこに問題があります。


 会話の授業は、テキストに忠実になればなるほど(言い換えればテキストを舐めるように授業をすればするほど)、うまくいかないようになっています。(本当はどの科目もそうなんですが・・)


 なぜでしょう。


 そのやり方だと、会話するには、あまりにも窮屈だからです。


 そのやり方だと、レールを敷かれているのが分かって話す意欲を失うからです。


 最近は、優れた会話教材がたくさん出ているので、テキストに沿って授業をしてもそれなりにいい授業になるかもしれません。


 でも、優れた教材であればあるほど、紙面に出ていない部分に細かな仕掛けが隠されているものです。


 その仕掛けを活かすためには、テキストとある程度距離を置いて授業をしなければなりません。


 テキストべったりだと、仕掛けに必要なドッキリ感やワクワク感が損なわれてしまいます。


 テキストべったりだと、気がついたら読解の授業になってしまいます。


 でも、特に経験の浅い教師の場合、どうしてもテキストべったりなってしまいがちです。(実際、テキストから離れるのは、結構勇気のいること。)


 それが証拠に、聴解が苦手という人はあまりいないのではないでしょうか。


 テキストべったりで(だいたい)済むからです。


 そんなところに、会話の授業アレルギーが生まれる原因があるのではないかと思います。


 

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(最終回)「言葉こそ最強の武器」

 これまで、学習者の出席率を劇的に引き上げる仕組みを紹介してきました。


 基本的には、今まで述べたようなことをしていけば、クラスの雰囲気はかなり変わってくると思います。だから、ぜひ実践してみてください。


 ただ、今まで紹介してきたものは、あくまでも仕組みの大枠です。


 学習者が、この仕組みというレールの上を加速度的に滑っていくためには、さらなる工夫が必要です。


 しかし、これ以上言うことはできません。


 なぜなら、その工夫とは「クラスの学習者一人一人のキャラにあわせた、その教員ならではの関わり方・演出」だからです。


 私は、あなたのクラスの様子も分からなければ、あなた自身のキャラクターも分かりません。


 かくいう私も、まだまだ修行中。やればやるほど思わぬ発見があり、また自分自身も見えてくる。


 だから日本語教師はやめられない。


 で、ここでひとつ、私が実践している私なりの演出を紹介します。(よかったら参考にしてください。)


 それは、学習者の日本語のレベルに合わせて、各界で大成した方の言葉や諺を折に触れ紹介するというものです。


 例えばこんな感じ。

=  =  =

T:日本の言葉に、「土俵の真ん中で相撲を取れ。」というの
  があります。横綱は土俵の真ん中で相撲をとります。一番
  安全だからです。下手な人は、すぐ一番危ない土俵の端の
  ほうに行って相撲をとります。そしてちょっと押されて負
  けるのです。

  皆さんにとって、土俵の真ん中は出席率100%です。土
  俵の端は80%です。いつも80%の人は、ちょっと休ん
  だだけですぐ土俵から出てしまいます。出たら負けです。
  だから、たとえ大変でもいつも土俵の真ん中にいるように
  しなさい。

=  =  =


 私は、折に触れ、こんな感じで学習者にいろいろな名言を紹介しています。


 その時の学習者にぜひ伝えたいと思うメッセージを、「今、この言葉を知れば絶対役に立つ。だから、聞け!知れ!」という感情を込めてプレゼンします。


 すると、「そう、そう。」とか「先生の言う通りです。」と言ってくる学習者が出てきます。


 クラスがそれらの言葉で少しずつまとまるようになってきます。


 クラスの士気が高まります。


 始めのうちは締りのなかった学生も、斜に構えて我流を通していた学生も、次第に素直になっていきます。


 思うに、学習者は私達が考えている以上にメンタルな部分でのサポートを求めているのではないかと思います。


 我々教師というのは、得てして「日本語をどう教えたら効果的なのか。」というテクニックな部分にばかり目を向けがちです。


 もちろん効果的なテクニックを追求することも大事なことです。


 ですが、学習者が求めているのはそれだけではなく、進むべき方向を照らしてくれる言葉、心を支えてくれる言葉、くじけそうな心を癒してくれる言葉、ではないかと思います。


 そんな言葉をシャワーのように提供し、そしてそれらの言葉のどれかに学習者は共感し、それをきっかけに教師と学習者との信頼関係が築かれ、協働学習が加速度的に進んでいく。


 私は「言葉こそ最強の武器」だと、つくづく思います。


 言葉ほど、人や社会に影響を与えるツールはないと思います。


 その最大最強のツールの正しい使い方(できれば魅力的な使い方も)を学習者に提供するのが、我々日本語教師の仕事ではないかと思います。


◇  ◇  ◇

 長らく続きましたこのシリーズも今回が最終回です。


 いかがだったでしょうか。


 「すごいねえ。」「まだまだ青いな。」「どんだけ〜。」


 ご意見・ご感想をいただけるとありがたいです。

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(7)「驚異のSKJ方式」

 今回は、学習者にさらに肯定的なフィードバックを送る仕掛けを紹介します。


 別に難しいものではありません。いたって簡単です。でも、効果は絶大です。


 以前、ポイント制について紹介しました。(っていうか、毎回触れてますね。)


 これです。


DSC04728.JPG


 で、これを使います。


 中間試験が終わった時点で、各グループのポイントを確認します。


 で、一番ポイントの高かったグループをみんなの前で表彰します。


 ちゃんと賞状も作って、記念写真も撮ります。


 例えば、こんな感じです。


 表彰式.bmp


 (すみません。本人達の了解を得ていないので目元を隠したら、ピンクでもやっぱり変な感じになりました。実際はみんなうれしそうに写っています。)


 で、この写真をどうするか?


 私のクラスでは、教卓の向かい側の、教室の一番後ろの壁の目立つところに貼っておきます。期末試験までずっと貼っておきます。


 すると、どうなるでしょう?


 日本語の教室というのは、いろいろな先生が入れ替わり立ち代り授業をしにやってきます。


 出席をとって、パッと顔を上げると目の前に表彰された3人の写真がある。


 「あれ、何?」


 先生は必ずそう尋ねます。


 すると、写真に写った学生は、


 「実は、かくかくしかじかで、表彰されたんですよ。」


 と、得意げに説明します。


 すると、それを聞いた先生は、


 「それはすごいね。がんばったんだねえ。」


 などと褒めるでしょう。そんな時、学生は決まって得意げにこう言います。


 「授業に出席するのは当たり前ですよ。学生なんですから。」


 この言葉ほど、教師が言うとあまりにも空しく、学習者が言うや途端に力強く響く言葉があるでしょうか。


 この言葉を聞いたほかの学生は、いったいどんな気持ちになるでしょうか。


 こんなシーンが、少なくとも1週間、新しい先生が入ってくるたびに繰り返され、


 そのたびに、表彰された学生は自尊心を満たすことができるわけです。


(それによって、表彰された学生がますます欠席できないように仕向けていくのが狙いの一つなのですが、まだそこまでの効力はありません。)


 この企画をやった後の学習者の話によると、私のクラスで1人、写真に気がつかなかった先生がいたそうで、


 いつまでたっても気がつかないものだから、学習者の方が痺れを切らし、


 「写真を見ろ。」と言わんばかりに、後ろの壁を指差したのだとか。


 先生がやっと気がつくと、「実は、かくかくしかじかで・・・」と当の学生が自慢げに説明し出し、クラス全体が大爆笑になったのだそうです。


 まさに効果絶大!!


 いずれにしても、学習者のいい行動については、できうる限り肯定的なフィードバックを返してやる。


 それによって、「いいことをすれば、必ず報われるんだ。」という風土を醸成する。


 これを私は、SKJ方式と呼んでいます。


 SKJとは・・・


 「んせい るたび まんする」(やっぱり日本語です。ちょっと狙いすぎたかな?)


 一度、やってみてください。


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習」は、


 (最終回)「言葉こそ、最強の武器」です。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
D.W.ジョンソン他『学生参加型の大学授業
ゾルタン・ドルニェイ『動機づけを高める英語指導ストラテジー35


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(6)「罪を憎んで、人を憎まず」

 今日は、週間出席率が80%を下回った場合、定期試験当日でも関係なくペナルティをさせるか、というお話です。


 別府大学文学部国文学科日本課程(以下、本学日本語課程)では、1期に2回の定期試験−中間試験と期末試験−を行い、その総合点に平常点を加味して成績を出しています。


 例えば前期の場合、4月10日前後に通常授業が始まり、7月25日前後で終わります。


 授業日数はだいたい71日前後、コマ数にするとだいたい210コマ。(ということは、大学の授業日数は年間でも約140日前後。実は休みのほうがはるかに多いのです。)


 とすると、中間試験はだいたい6月の第1週目、期末試験は7月第4週目に行うことになります。


 で、これまでも何度か言ってきたように、授業開始日から中間試験の前日まで、あるいは中間試験の翌日から期末試験の前日までの出席率がそれぞれ80%を越えていれば、首尾よく定期試験を受ける権利が得られるというわけです。


 そこでちょっと気になるのが、週間出席率が80%を下回った場合、定期試験当日でも関係なくペナルティをさせるか、ということです。


 本学日本語課程では、これまで定期試験は火・水の2日に分けて実施するのが慣わしになっています。


 で、私の場合、担当クラスの授業は、通常火・水・木です。


 だから、定期試験の前週に8割切った学生がいた場合、それを公表するのは試験当日1日目になってしまう。


 しかし、これから試験だというのに、その10分前にペナルティなどやらせては、意味もなく学生を動揺させるだけでしょう。


 第一、試験当日ともなれば、もはや週間出席率にこだわること自体全く意味がない。ここで重要なのは、累積出席率が80%を越えているかいないか。


 越えていれば試験を受けるだけだし、越えていなければペナルティどころか受験資格を失ってしまいます。


 こんな時、どうするか。


 私が今までやってきたことを再現すると、こんな感じです。


= = = = =


 (おもむろに出席簿を開けながら、いつものように。)


「はい、では先週の出席状況を発表します。え〜と、○○さんと△△さんですね。」


(教室に、一瞬冷たい空気が走る。学習者の顔が一瞬こわばる。)


「ですが、今回はペナルティはありません。もう試験ですから。


 これを日本語で『恩赦(おんしゃ)』と言います。」


(と言いながら、「恩赦」(ルビ付)を板書する。)


(学習者は急いで電子辞書で調べ、意味が分かるや、「オーッ。」と安堵のため息をつく。緊張した顔に笑顔が漏れる。)


「ではみなさん、試験、頑張ってくださいね。」


= = = = =


 だいたいこんな感じです。


 いかがでしょうか。


 試験の時は、やはり試験に集中させたいもの。


 また、ルールはあくまでもみんなが気持ちよく目標を達成するための仕掛けに過ぎません。


 効力の及ぶ範囲というものも心得ておく必要があるのかな、という気がします。


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習」は、


 (7)「驚異のSKJ方式」です。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
D.W.ジョンソン他『学生参加型の大学授業
ゾルタン・ドルニェイ『動機づけを高める英語指導ストラテジー35


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(5)「チェック!チェック!チェック!」

 5日間お休みをいただきました。ありがとうございました。


 さて、早速本題。


 これまでの流れをざっとおさらいすると、


(1)仕組みを学習者に説明してコンセンサスを得る。

(2)学習者を好きな者同士でグループ分けをする。

(3)グループごとにペナルティを決めさせる。

(4)ポイント制を導入して、肯定的フィードバックを行う。


 でした。


 これでお膳立てはバッチリです。事前にこれだけの仕掛けを作っておけば、「後は適当に学習者に発破をかけていればなんとかなりますよ。」と言いたいぐらい、とても楽です。


 この後は、この仕組みにちゃんと学習者が絡み続けているか、変なほころびがでていないか、チェックする必要があります。


 具体的には、まず毎週末に週間出席率と累積出席率を計算して、80%を切るような学習者がいないかチェックします。


 もし80%を切るような学習者がいれば、授業の時に公表し、その学習者のグループ全員にペナルティをさせます。


 そして、そのグループに新たな用紙を渡してさらなるペナルティを決めさせます。


 と同時に、メンバー全員が80%を越えたグループも公表し、ポイント表に印鑑を押していきます。


 また、復習テストが70点以上あった学生についても自己申告させ、ポイントを加算していきます。


 だから、授業の時には印鑑を忘れずに持っていく必要があります。


 また、私の場合、この時ちょっとした小道具を使っています。


 名付けてマツイ棒ならぬ「はくしゅ棒」。


V?.bmp


 ポイント表に印鑑を押す時、私はこのはくしゅ棒をさっと出します。


 私がこの棒を出すと、学習者は強制的に拍手をしなければなりません。


 始めのうちこそ、みんな恥ずかしがってあまりしませんが、そのうち慣れてくると、自然に拍手をするようになります。


 これが、結構クラスの雰囲気アップに効果があります。


 実は、このアイデアは私のオリジナルではありません。


 東京のある有名なタクシー会社が社員のモティベーションをアップさせるために実践しているもので、


 それをテレビで見て、「これは使える!!」と、授業に取り入れた次第です。


 いいものはどんどん取り入れる。


 これぞ、TTP方式!!*。


(*TTP方式とは、「ってい きに クる。」の略です。)


 こういったわくわく感や新鮮さの演出も、学習者のモティベーションを維持するためには大切な要素だと思います。


 こうして頻繁にチェックを行うことで、学習者の出席率の維持を図っていくわけです。


 一見大変そうに思えるかもしれませんが、基本的にはしっかりした仕組みの中に学習者を流し込んでいるので、そんなに大変な作業ではありません。


 チェックしながら、適当に学習者に発破をかけたり褒めてあげたりしてください。


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習」は、


 (6)「罪を憎んで、人を憎まず。」です。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
D.W.ジョンソン他『学生参加型の大学授業
ゾルタン・ドルニェイ『動機づけを高める英語指導ストラテジー35


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(4)「ポイントセール大作戦」

 前回は、(3)「ペナルティを決める」についてお話しました。


 学習者が決めたペナルティは、下の写真のように教室の一番目に付く所に貼ってあります。


DSC04725.JPG


 アップにするとこんな感じです。


.bmp


 ちょっと分かりにくいかもしれませんが、雰囲気はお分かりいただけるのではないかと思います。(写真をクリックすると大きくなります。)


 後期からは、ちゃんとワードかなんかでフォームを作ろうと思います。


 さて、読者の皆さんの中には、


 「学習者に自己責任でペナルティを決めさせたのだから、あとは毎週出席率をチェックして、ダメなグループにはペナルティをさせればいいんじゃないの?」


 と思われる方がいるかもしれません。


 それで十分というクラスもあるでしょう。


 ですが、私が担当した20歳前後のクラスでは、これだけの仕掛けで定期試験までもたすのはかなり困難でした。


 始めのうちはみんな気が張っているので、ペナルティなどという仕組みがいらない位、ちゃんと出席します。


 しかし、やがて息切れの時期が来ます。


 ある学生が2〜3回続けて休むと、それが周りの学生に伝播し、バタバタッと数人休むようになります。


 私が今まで受け持ったクラスの場合は、入れ替わり立ち代わり休むような感じだったので、たちどころに80%を切るという感じではありませんでした。


 しかし、クラスの雰囲気はどんどん悪くなっていきます。


 ペナルティという否定的フィードバックは、数週間に一組ぐらいだと際立つので効果がありますが、毎週起こるようになるともはや効果は半減します。


 そんな状況を何とかしようとしてペナルティを強化するとかえって逆効果。学習者に無力感を学習させてしまいかねません。


 学習者を正しい方向に導くためには、否定的なフィードバックだけではダメで、肯定的フィードバックが必要なのです。


 そこで私が考えたのが、


 先週の出席率がグループのメンバー全員80%超えた場合は、そのグループに3ポイント、ついでにメインテキストで課ごとに行う復習テストで70点以上取った学生には一人当たり1ポイントを与える。


 そして、グループ別ポイント表をペナルティシートの上に貼って、「ポイントが一番多いグループには後で何かいいことがありますよ。」と言って、グループごとで競わせる(=自尊心をくすぐる)ようにしたのです。


 下が実際に使用したポイント表です。


DSC04728.JPG


 「そんな幼稚な方法が通用するのか?」


 そう思う方もいるかもしれません。


 しかし、これが割と効果ありです。


「Cグループ頑張ってますねえ。 おや?Dグループ、大丈夫ですか?頑張ってくださいね。」


 などと、適度に発破をかければそれだけで学習者は頑張ります。


 また、自分の学力にあまり自信のない学習者が、たまに復習テストで70点以上取ると、


 「先生、いい点取ったからポイントください!!」


 と、言ってきたりします。


 普段やっている何気ない一つ一つの作業にハリが出てきます。


 大切なことは、否定的なフィードバックだけでなく、学習者のいい行動に対しては小さなことでもきちっと肯定的なフィードバックを与えるということなのです。


 自分のやった「いいこと」をちゃんと認めてもらえれば、それだけで人は嬉しくなるものです。


 この仕掛けによって、たとえクラスの雰囲気が悪くなりそうになっても、肯定的な仕掛けがそこかしこにちりばめてあるので、


 スルスルッとうまく潜り抜けもとの肯定的な学習環境に引き戻すことができるのです。


 かくして、学習者のモティベーションを定期試験まで維持することができるのです。


 ◇   ◇   ◇


さて、私、お盆休みのため15日までお休みをいただきます。


 この次の更新は16日です。


 次回の「学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習」は、


 (5)「チェック!チェック!チェック」です。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
D.W.ジョンソン他『学生参加型の大学授業
ゾルタン・ドルニェイ『動機づけを高める英語指導ストラテジー35


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(3)「ペナルティを決める」

 今回こそ、さらっと・・・。


 グループ分けが決まったら、今度は出席率80%を下回った場合のペナルティを決めます。


 このペナルティが、出席率を劇的に引き上げる最大最高の仕掛けです。


 だから、ここはきっちりと進めなくてはなりません。ここで教師がミスを犯したらすべてが台無しです。


 といっても、難しいことは何もないので心配いりません。


 まず、各グループにA4サイズのコピー用紙を1枚ずつ配ります。


 紙には予めマジックか何かで、上方に「Aグループ」とか「Bグループ」とか、各グループの名前を書いておいてください。


 それから学生にこう言ってください。


 「これから、出席率が80%より下がった時のペナルティを考えます。

 ペナルティは、皆さんがグループで話し合って決めます。」


 そしておもむろに、こう板書してください。


 「もし、週間の出席率が80%より下がったら、メンバー全員で__________をします。」


 そして、学生にこう言ってください。


 「___________にペナルティが入ります。

 どんなペナルティにするかメンバーで話し合って決めて、その紙に書いてください。

 決める時、必ずメンバー全員がいいと思うペナルティを決めてください。

 メンバーの中で一人でもやりたくないという人がいたら、そのペナルティはダメです。もう一度始めから話し合って決めてください。

 それから、ペナルティを決める時、次の4つは守ってください。

 1.教室の中でできること。

 2.5分ぐらいでできること。長くても10分。

 3.お金を使わないこと。

 4.下品なものではないこと。

 決まったグループから、みんなの前で発表します。

 ペナルティが軽くて、他のグループからブーイングが出たら、そのペナルティはダメです。

 また始めから考えてください。

 他のグループからOKがでたら、その紙の半分から下のところにメンバー一人一人のサインを書いて、私に出してください。

 はい、始め!!」


 そうすると、それぞれのグループは面白がって様々なペナルティを書いてきます。


 ちなみに私のクラスの学習者が書いてきたのは・・・。


・女性は腕立て伏せ20回。男性は50回。

・一人当たり4分間、クラスメート全員をマッサージする。

・他の国の歌を歌う。

・家で餅を作ってみんなに振舞う。


 ここで面白いのは、どのグループの学生も自分達が決めたペナルティよりも、他のグループの決めたペナルティに目が行って妙に興奮している点です。


 まだ自分の問題として受け取れていないんですね。


 フフフ、笑っていられるのも今のうちさ・・・。


 すべてのグループのペナルティが出揃ったところで、その紙を教室の一番目立つところに並べて貼ってください。


 そして、こう言ってください。


 「私はとても楽しみですね。

 Aグループの腕立て伏せがとても見たいです。

 Bグループに4分間、足をマッサージしてほしいです。

 Cグループの中国人には「オ〜ナラ、オ〜〜ナラ」(「チャングムの誓い」のオープニングテーマ)を歌ってほしいですね。

 みなさん、学校を休みたかったら休めばいいんですよ。

 後はみんなの前でペナルティをすればいいんです。

 明日から休みますか?」


 そうやって、学習者の闘争心(?)を煽れるだけ煽ってください。


 とりあえず、これで「ペナルティを決める」は終わりです。


 大切なことは、前回も言いましたができるだけ学習者に選択肢を与えてやる、と同時に責任も担わせる、ということです。


 これにより、学習者は俄然やる気を出して取り組みます。


 それからもう一つ大切なことは、活動にゲーム的な要素を取り入れることによって、ワクワク感を演出するということです。


 出席率を上げるための指導をしようとすると、得てして教室全体が説教部屋のようになり、常習犯不在、ちゃんと出席しているまじめな学生に注意してしまった結果、意欲のある学生のやる気さえ削いでしまうって事態になりがちです。(最悪!こんなクラスならむしろ欠席したい。)


 目指すは、どっちに転んでも明るい雰囲気を維持できて、しかも学習者を正しい方向に導く仕掛け作り。


 もちろん、教師は常に笑顔です。


 いかがでしょうか。こんなクラスなら自然と「行きたい!」って思いません?


 さて、次回の「学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習」は、


 (4)「ポイントセール大作戦」です。


 どうぞ、お楽しみに。


 やっぱりさらっとじゃないじゃん・・・。


参考文献:
D.W.ジョンソン他『学生参加型の大学授業
ゾルタン・ドルニェイ『動機づけを高める英語指導ストラテジー35


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(2)グループ分け

 昨日はえらく長々と書いてしまいました。今回からさらっと・・。


 学期初め、日本語課程全体のオリエンテーションが終わったら、クラスごとのオリエンテーションをします。


 ここでは、自己紹介やら授業の進め方の説明やら出席率の説明やら使用教科書の注文取りやらをします。(この辺はどこの学校も似たり寄ったりではないかと思います。)


 その後、クラスの学生を1グループ3〜4人ぐらいでグループ分けをします。


 分け方は「好きな人同士/友達同士」。ここはとても大切な所です。


 グループ分けというと、知らない人同士、違う国の人同士でグルーピングしようとするのが常套手段ではないかと思います。


 人間関係を広げるのが目的であれば、それはとても有効な手段です。


 しかし、今回に限ってはむしろ逆効果です。


 このグループは、欠席グセに歯止めをかけるための仕掛けです。


 彼らはこの先、期末試験までこのグループのメンバーと運命をともにします。


 メンバーのうち、誰か一人でも出席率が80%を下回れば、メンバー全員が罰を受けなければなりません。


 逆に、メンバー全員が出席率をクリアすれば、全員でその喜びを分かち合うことができるわけです。


 だから、出席率を維持するためには、学習者に「私が休んだら、大切な友達にまで迷惑が及んでしまう。」という気持ちを、常に持たせなければなりません。


 また、同じ国の仲良しグループの方が、何かあった場合、何の抵抗感もなく母国語でスムースに連絡を取りあうことができます。


 グループ分けはそのための仕掛けです。


 もし仮に違う国同士で組ませてしまうと、人間関係がないため抑止力が強く働かないばかりか「やっぱり○○人は時間にルーズだ。」といったような、妙な偏見を学習者に抱かせてしまいかねません。(こうなると最悪です。)


 だから、仲のいい友達同士で組ませる方がはるかに効果があるわけです。


 もちろん初めてのクラスですから、全員が全員うまく仲良しグループに収まるわけではないかもしれません。それはそれで構いません。(そんな時は、人間関係を築かせるためにもグループごとで軽く自己紹介をさせてください。)


 大切なことは、グループ分けにしても何にしても、できるだけ学習者に選択の余地を与えるということです。


 このプログラムの最大の目的は、「学習者に責任ある行動をとってもらう。」ということです。出席率はその一つの指標です。


 学習者にできるだけ選択の余地を与える。そして、選んだことによって生じた問題は選んだあなたの責任ですよ。ちゃんと責任を持って処理してくださいね。そういうことです。


 こういう理屈は、学習者に選択の余地を与えなければ成り立ちません。


 だから、もしグループ分けのときに、学生が「先生が決めてください。」と言ってきても、必ず突っぱねて彼ら自身に決めさせてください。


 そうでないと、将来学習者が何か大きな問題にぶち当たった時、教師の判断を必ず責任逃れの言い訳に使います。


 こうして首尾よくグループ分けができたら、AチームとかBチームとか適当に名前をつけた後、学習者に向かってこう言ってください。


「このグループは運命共同体(板書したほうがいいかも)です。

 もし、メンバーのうち一人でも出席率80%を切ったら、メンバー全員が罰を受けなければなりません。

 メンバー全員です。

 一人だけ逃げることはできません。

 でも、メンバー全員が80%以上だったら、みんなで喜びます。

 これもメンバー全員です。

 だから、もしメンバーの誰かの出席率が危なくなったら、他のメンバー全員で助けてあげてください。

 そうしないと、メンバー全員が罰を受けなければなりません。

 メンバー全員です。」


 グループ分けは、ひとまず以上です。


 ここで一つ注意していただきたいのは、このグループ分けは、教室での座席位置とは全く関係がないということです。


 グループごとに座る必要は全くありません。


 私の場合、オリエンテーションの前日に、予め学習者のネームプレートを机に貼るようにして、事前に座席を指定させておきます。


 座席の決め方は、できるだけ違う国同士、違う性別同士になるようにします。


 そのような低コンテキスト環境にしておいた方が、日本語の授業を進める上では何かと都合がいいからです。


 だから、グループのメンバーが教室内でてんでんばらばらに座っていても所詮同じ教室内、特に問題はありません。


 日本語の勉強は知らない人同士、出席管理は仲良し同士。このダブルネットワークによって、取りこぼしや落ちこぼれを生まない強力なクラスマネージメントの実現を目指すわけです。


 さて、次回の「学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習」は、


 (3)「ペナルティを決める」です。


 どうぞ、お楽しみに。


 全然さらっとじゃないじゃん・・・。


参考文献:
D.W.ジョンソン他『学生参加型の大学授業
ゾルタン・ドルニェイ『動機づけを高める英語指導ストラテジー35


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(1)別大日本語課程について

 具体的な指導方法をいう前に、今日は舞台となる別大日本語課程についてご説明します。


 というのも、背景を知っている方がわかりやすいと思うからです。


 もし、不明な点があれば、些細なことでもコメントください。できうる限りご説明します。その方がより明確に理解できると思います。


 別府大学には、日本語課程と呼ばれる組織が2つあります。別科日本語課程と国文学科日本語課程(以下、本科日本語課程)です。


 別科日本語課程は、全国の多くの私大で採用されている形態の日本語課程です。


 学校形態は各種学校、基本的には大学とは別形態の学校ということになるので、厳密に言うとそこに所属している留学生は大学生ではありません。また、例えば単位の互換などは原則できないことになっています。(少なくとも私の認識では。)


 一方、私が属している本科日本語課程は、その名の通り国文学科の中に組み込まれた日本語課程。従って、ここで学ぶ留学生はれっきとした大学生です。


 また、この課程で取った成績は(国文学科の学生は専門科目として、他学科の学生は留学生科目として)すべて単位として認定されます。


 本科日本語課程は、国文学科の学生はもちろん、他の学科の学生も含め、常時120人前後の留学生が受講しています。(一応国文学科の組織ですが、そういう意味では留学生センターのような役割も担っています。)


 クラスは、ここ数年Aクラス〜Hクラスまでの8クラス。Aクラスが初級レベルでHクラスが上級レベルです。1クラスはだいたい15名〜20名前後といったところです。


 授業は1コマ90分で1日3コマ。それが月曜日から金曜日まで。従って計15コマ/週、日本語を勉強するわけです。


 入学式は4月と9月の年2回。新入学留学生は、日能試1級合格者以外、学期の初めにプレイスメントテストを受け、成績によって各クラスに振り分けられます。


 所属学科や学生の日本語力にも寄りますが、留学生は半年から1年半、この本科日本語課程で集中的に日本語を勉強し、その後それぞれの専門に進みます。


 本科日本語課程では、定期試験が各学期ごとに中間試験と期末試験の2回あり、両者の点数の合計がその期の成績に反映される仕組みになっています。


 本科日本語課程では、出席管理をかなり厳し目(あくまでも主観的な判断)にやっています。


 例えば、授業開始日から中間試験の前日までの出席率が80%を越えていないと、中間試験を受けることができません。


 同様に、中間試験の翌日から期末試験の前日までの出席率が80%を越えていないと、期末試験を受けることができません。


 本科日本語課程では、週15コマの授業が1セットになっているので、出席率が80%を切った場合、出席不足により日本語課程に関するすべての試験が受けられず、結果15コマ分の授業の成績がすべて「失格」と記され、その期の単位は0となってしまいます。


 だから、私達は毎週毎週、週末になるとその週の出席率と授業開始日からの累積出席率を計算し、いずれかの出席率が80%を切ると、本人への指導はもちろん、学生が所属する学科の担当教員に連絡し、指導してもらうよう促します。


 だから、入国管理局にある学生の就学状況を報告する場合も、授業日誌と合わせて、かなり迅速かつ細かな内容の書類を提出することができます。


 おかげさまで入国管理局からもそれなりの高い評価をいただいているそうです。(事務局の方の話によると。)


 学生の立場で考えれば、おそらく想像していた大学生活とはずいぶん違うかもしれません。


 週15コマの日本語集中プログラム。そして徹底した出席管理。まるで高校なみです。


 しかし、それは「一日も早く自分の専門で日本人と張り合えるだけの日本語力をつけて欲しい。」という我々の切なる願いの表れであり、


 6年前、本学の学生によって引き起こされた山香強盗殺人事件を2度と起こしてはならないという、執念の表れでもあるのです。


日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

留学生による読み聞かせ。「園児の泥団子に撃沈!」の巻

 今日火曜日は、留学生科目「応用日本語」のある日。


 この授業では、留学生が自国の昔話で紙芝居を作成、プレゼン練習をした後、同じキャンパス内にある附属幼稚園に行って、読み聞かせ活動をしています。


 これまでも何度かご紹介しましたよね。


 今期はまだ紙芝居作成段階なので、市販の紙芝居で読み聞かせをしていたのですが、いよいよ来週から手作り紙芝居がお目見えとなります。



 というわけで今日のお話は「かぐや姫」と「おむすびころりん」。


 「おじいさんが竹やぶに入ってみると、一本の光る竹がありました。」

 と、留学生。


 「”竹やぶ”って、なーーにーー?」

 と、園児。


 「これ、これ。」

 と、絵パネルを指さす留学生。


 「全然わから〜〜ん。」


 「そー? それで、竹やぶの中から……。」

 と、園児の言葉を軽く流して、淡々と読んでいく留学生。


 −負けてないねえ。


 子どもといっしょに聞いていたほかの留学生の中から、クスクスと笑い声。


 −笑っていられるのも今のうち。次は君らの番だ。


 読み聞かせが終わった後は、みんなで園庭に出てお外遊び。


 しばらくして、ある子が園庭の砂で泥団子を作って、投げ始めました。


 すると、おもしろがって他の子も。


 園庭を、遊び半分本気半分で逃げ回る留学生。


 実は、授業の直前、一時ザーっと雨が降ったのです。割とすぐに止んだので、あまり気にはしていなかったのですが、そういえば園庭の所々に小さな水溜りが……。


 幼稚園を後にする頃には、数人の学生のTシャツやジーパンに泥が飛び散っていました。(私もスーツのファスナーに泥を塗り込められてしまいました。)


 「はーい、洗濯、洗濯。」

 と、女子学生。


 でも、こんなことでいちいち怒ったり動揺したりしていたのでは、園児の相手はつとまりません。


 いい経験になったと思います。(私も。)


 今週末には、先週の分もあわせてHP「日本語教師篠崎大司研究室」で公開する予定です。どうぞお楽しみに。


▽   ▽   ▽

 本気で日本語教師を目指したい方。下の3つがおすすめです。
 
 おすすめ通学制講座:
 ヒューマンアカデミー日本語教師養成講座

 おすすめ通信制講座:
 NAFL日本語教師養成プログラム

 おすすめ短期通信制講座
 NAFL日本語の教え方・短期実践講座

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

中級の留学生に対するレポート作成指導

 今日は中級クラスで作文の授業をやってきました。


 別府大学の日本語課程では、中級クラス以上になると作文の時間に一方でテキストを使用しながら、もう一方でレポート作成指導を行っています。


 各学科からそれぞれ課題を出してもらい、それに沿って指導をしていくわけです。


 そして、学期末に『中級クラスレポート集』なる冊子を作り、学生はもちろん関係学科にも配布しています。


 学生たちは、かなり苦労しながら書きますが、一期かけて一本、完成度の高いレポートを作成、冊子となって手許に残るので、評判はなかなかいいようです。


 私の場合、ただだらだらと自分の意見を書かせるのではなく、段落構成や各段落の文章のパターンなど、かなり制限を加えて書かせています。


 例えば、タイトルは以下の4パターンのどれかで書かせています。(文系ならだいたいこの4つで足ります。)


・「○○とは何か」
・「○○と△△はどう違うのか」
・「○○はなぜ◇◇なのか」
・「○○と◎◎の関係」


 そして、全体の構成は以下のようにし、それぞれの文章のパターンをパワーポイントを使いながら指導しています。


0.はじめに
1.本論
 1−1.先行研究
 1−2.(本論)
2.おわりに
参考文献


 これでだいたい2000字ぐらいをメドに書かせているわけです。


 こういうのを”パラグラフ・ライティング(pragraph writing)”とかガイデッド・ライティング(guided writing)”とかいうのでしょうか。(個人的には成果さえ出れば名称はどうでもいいです。)


 今のクラスは、ようやく先行研究を書き上げた段階。(ちなみに今日は久しぶりにテキストの問題をやりました。)


 学生はとにかく一つ一つ四苦八苦。先行文献の表紙を開くだけでも気が重たそうなのです。(日本語難しいからねえ。)


 でも、そんな姿を見るたびに、「学科に上がったらすべて自分一人でやって、成績を出さなければならないんですよ。今のうちにしっかり書く方法を身につけなさい。」と発破をかけています。


 この活動のポイントは、学生にレポートを書き上げる感触をつかんでもらうこと。


 書き上げれば、今までの苦労が一気に自信へと反転します。


 最後まで頑張ってほしいと思います。


 また、ちょくちょく報告しますね。


▽   ▽   ▽

 本気で日本語教師を目指したい方。下の2つがおすすめです。
 
 おすすめ通学制講座:
 ヒューマンアカデミー日本語教師養成講座

 おすすめ通信制講座:
 NAFL日本語教師養成プログラム

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

会話の授業は障害物競走?

 会話の授業が苦手な方って、結構多いようですね。

 ブログを見ていると、「どうしたらいいのか、全く謎だ。」という方もいらっしゃいました。


 そこで、今回は私のやり方をご紹介します。


 基本は「タスク先行型」、つまり、いきなりロールプレイをやらせて、そこで出た学習者の誤用や言いたいことが言えない状況(こういうのを「言語的挫折」と言います。)にあわせて、必要な語彙や文型・表現を指導していくというやり方です。


 私の場合、タスクの途中途中にハードルを作って、それを乗り越えられるかどうかで学習者の会話力をみることにしています。例えば、……


 タスク:「友人をカラオケに誘ってください。」

(A:学生、B:教師)

A:○○さん、今日カラオケに行きませんか?
B:いいですねえ。
  あ、でも、今日アルバイトがあります。(←ハードル)
A:え!じゃあ、明日は?
B:あした?あしたは大丈夫です。
  あ、でも、おかねがありません。(←ハードル)
A:だいじょうぶですよ。あのカラオケ屋は500円ですから。
B:そうですか。いいですねえ。
  あ、でも、私日本の歌はわかりません。(←ハードル)
A:いいですよ。歌わなくてもいいです。
B:そうですか。よかった。
  でも、私お酒はダメです。(←ハードル)
A:大丈夫。ジュースがあります。
B:そうですか。じゃあ、いきましょう。。(←ゴール)


 授業では、最初に教師×学習者でやって、学習者がつまづくたびに「この時、なんと言いますか。」と問いかけ、語彙や文型を導入しながら談話を作っていきます。


 その後、ペアで会話練習をさせます。


 このやり方だと、タスクのレベルを調節することで大体の学習者に対応できますし、会話の試験も採点しやすくなります。


 まさに日本語の障害物競走やあ!(彦摩呂風)


 試してみてください。


 ちなみに会話の授業にお困りの方は下記書籍の一読をおすすめします。本当にいい本です。

日本語教師をめざす方、現職日本語教師の方のための
無料メールマガジン

日本語学校(専任、非常勤)・大学で行なってきた日本語教育・教員養成の経験をもとに、日本語教師として日々成長するためのヒントをお届けします。
篠研の“日々成長する教師”
|

「授業のやり方・指導法」の記事一覧です。

【形(かた)を身につける。】


留学生による自作紙芝居読み聞かせ(20)「授業最終回」留学生は貴重な人的資源だ

スポンサードリンク  7月5日(火)は、最後の組3名が幼稚園で読み聞かせを行い..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(20)「授業最終回」留学生は貴重な人的資源だの全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(19)「授業9日目(後半)」最後はパーティにしよっか

スポンサードリンク  それから、例によってまず3人の留学生に読み聞かせをさせ、..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(19)「授業9日目(後半)」最後はパーティにしよっかの全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(18)「授業9日目(前半)」プールがあっても子どもは元気

スポンサードリンク  今回は、自作紙芝居による読み聞かせの第2回目。 ..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(18)「授業9日目(前半)」プールがあっても子どもは元気の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(17)「授業8日目(後半)」園児との掛け合いこそ読み聞かせの醍醐味

スポンサードリンク  留学生の読み聞かせが流暢になったせいか、最初の組も10分..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(17)「授業8日目(後半)」園児との掛け合いこそ読み聞かせの醍醐味の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(16)「授業8日目(前半)」ん?園児に元気がない

スポンサードリンク  最初からうすうすわかっていたことでしたが、結局、当日まで..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(16)「授業8日目(前半)」ん?園児に元気がないの全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(15)「授業7日目(後半)」紙芝居作成。原稿の貼り位置はそこじゃない!

スポンサードリンク  ただ、学生たちを見ていると、ある留学生は原稿のチェックを..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(15)「授業7日目(後半)」紙芝居作成。原稿の貼り位置はそこじゃない!の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(14)「授業7日目(前半)」読み練習の時間がない

スポンサードリンク  5/31、6/7の授業では、幼稚園訪問を一時中断し、芸術..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(14)「授業7日目(前半)」読み練習の時間がないの全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(13)「授業6日目(後半)」ポイントは、相手を配慮した粘り強いコミュニケーション

スポンサードリンク  留学生には悪いのですが、今回の読み聞かせ組みを連れて行く..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(13)「授業6日目(後半)」ポイントは、相手を配慮した粘り強いコミュニケーションの全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(12)「授業6日目(前半)」留学生、もっと動け!

スポンサードリンク  授業まであと3分ほど。私は教室に向かって階段を上っていま..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(12)「授業6日目(前半)」留学生、もっと動け!の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(11)「授業5日目(後半)」読み聞かせ、実は結構難しい

スポンサードリンク  私は、園児に分からないように他の留学生を集めて言いました..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(11)「授業5日目(後半)」読み聞かせ、実は結構難しいの全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(10)「授業5日目(前半)課題山積。企画倒れか?」

スポンサードリンク  前回の宿題。締め切りは14日土曜日。この時点でまだ3人未..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(10)「授業5日目(前半)課題山積。企画倒れか?」の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(9)「授業4日目(後半)留学生の下手な日本語に園児は?」

スポンサードリンク  5名は先週渡された絵本や紙芝居を携えています。今日の読み..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(9)「授業4日目(後半)留学生の下手な日本語に園児は?」の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(8)「授業4日目(前半)昔話はレポートじゃない」

スポンサードリンク  先週のの土曜日には、ほぼ全員が昔話をメールで送ってよこし..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(8)「授業4日目(前半)昔話はレポートじゃない」の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(7)「授業3日目(後編)留学生も興奮、園児も興奮」

スポンサードリンク 「あなたは砂場にいる子どもと一緒に遊びなさい。」 ..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(7)「授業3日目(後編)留学生も興奮、園児も興奮」の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(6)「授業3日目(前編)留学生、園児にたじたじ・・」

スポンサードリンク  授業の前日である4月25日(月)、事前の打ち合わせをする..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(6)「授業3日目(前編)留学生、園児にたじたじ・・」の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(5)「授業2日目(後編)留学生、実はやる気満々」

スポンサードリンク 「あのね、相手は子どもだからね。笑顔で、やさしく読んであげ..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(5)「授業2日目(後編)留学生、実はやる気満々」の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(4)「授業2日目(前編)留学生、桃太郎と会う」

スポンサードリンク  授業2回目。前回はやや気まずい雰囲気のまま授業が終わって..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(4)「授業2日目(前編)留学生、桃太郎と会う」の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(3)「授業初日(後編)留学生、どん引き」

スポンサードリンク 「先生、幼稚園の子どもと何をしますか。」 「紙芝..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(3)「授業初日(後編)留学生、どん引き」の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(2)「授業初日(前編)留学生、凍る」

スポンサードリンク 今日は授業の第1回目。事前の連絡が徹底していたためか全員出..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(2)「授業初日(前編)留学生、凍る」の全文を読む

留学生による自作紙芝居読み聞かせ(1)「厄介な授業」

スポンサードリンク  今回から新シリーズです。  私が平成17年..
>>留学生による自作紙芝居読み聞かせ(1)「厄介な授業」の全文を読む

ホントは簡単!会話の授業(最終回)「最後は自分のノウハウを築く。」

 さて、これまで「ハードル競走」型会話指導について、授業の準備から評価の仕方にいたるまで(半ば思いつ..
>>ホントは簡単!会話の授業(最終回)「最後は自分のノウハウを築く。」の全文を読む

ホントは簡単!会話の授業(9)「どうやってテストするか?−評価の観点」

 本日も取り急ぎ。  さて、皆さんは会話のテストの時、どんな項目を立てて採点しますか。..
>>ホントは簡単!会話の授業(9)「どうやってテストするか?−評価の観点」の全文を読む

ホントは簡単!会話の授業(8)「ハードル競走型会話指導実例集−初級編」

 本日は、取り急ぎ。  これまで、「ハードル競走」型会話指導について説明してきました。..
>>ホントは簡単!会話の授業(8)「ハードル競走型会話指導実例集−初級編」の全文を読む

ホントは簡単!会話の授業(7)「このツッコミが学習者を鍛える」

 前回のブログでは、会話の場面に沿ったロールカードを作成し、学習者の会話力を引き上げる仕掛けとしての..
>>ホントは簡単!会話の授業(7)「このツッコミが学習者を鍛える」の全文を読む

ホントは簡単!会話の授業(6)「レベルの調整はハードルの高さと量」

 さて、前回は場面設定が会話の授業ではとても重要だってことを書きました。  次に用意す..
>>ホントは簡単!会話の授業(6)「レベルの調整はハードルの高さと量」の全文を読む

ホントは簡単!会話の授業(5)「会話の授業は場面が命!」

 前回は、「ハードル競走」型会話授業の基本パターンを紹介しました。  簡単に言うと、B..
>>ホントは簡単!会話の授業(5)「会話の授業は場面が命!」の全文を読む

ホントは簡単!会話の授業(4)「実録!ハードル競走」

 今日は、「ハードル競走」型会話授業が授業でやるとどうなるか、その実際をご覧(?)いただきます。 ..
>>ホントは簡単!会話の授業(4)「実録!ハードル競走」の全文を読む

ホントは簡単!会話の授業(3)「ハードル競走って”なんちゃってOPI”」

 会話の授業の進め方は「ハードル競走」をイメージすると分かりやすい、と前回書きました。 ..
>>ホントは簡単!会話の授業(3)「ハードル競走って”なんちゃってOPI”」の全文を読む

ホントは簡単!会話の授業(2)「苦手克服の鍵はシンプルな授業パターン」

 今回は取り急ぎ。  前回は、テキストとある程度距離を置くことが、会話の授業を成功させ..
>>ホントは簡単!会話の授業(2)「苦手克服の鍵はシンプルな授業パターン」の全文を読む

ホントは簡単、会話の授業(1)「なぜ苦手なのか?」

 さて、今回から新連載。「ホントは簡単!会話の授業」を始めます。  以前、このブログで..
>>ホントは簡単、会話の授業(1)「なぜ苦手なのか?」の全文を読む

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(最終回)「言葉こそ最強の武器」

 これまで、学習者の出席率を劇的に引き上げる仕組みを紹介してきました。  基本的には、..
>>学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(最終回)「言葉こそ最強の武器」の全文を読む

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(7)「驚異のSKJ方式」

 今回は、学習者にさらに肯定的なフィードバックを送る仕掛けを紹介します。  別に難しい..
>>学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(7)「驚異のSKJ方式」の全文を読む

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(6)「罪を憎んで、人を憎まず」

 今日は、週間出席率が80%を下回った場合、定期試験当日でも関係なくペナルティをさせるか、というお話..
>>学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(6)「罪を憎んで、人を憎まず」の全文を読む

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(5)「チェック!チェック!チェック!」

 5日間お休みをいただきました。ありがとうございました。  さて、早速本題。 ..
>>学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(5)「チェック!チェック!チェック!」の全文を読む

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(4)「ポイントセール大作戦」

 前回は、(3)「ペナルティを決める」についてお話しました。  学習者が決めたペナルテ..
>>学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(4)「ポイントセール大作戦」の全文を読む

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(3)「ペナルティを決める」

 今回こそ、さらっと・・・。  グループ分けが決まったら、今度は出席率80%を下回った..
>>学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(3)「ペナルティを決める」の全文を読む

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(2)グループ分け

 昨日はえらく長々と書いてしまいました。今回からさらっと・・。  学期初め、日本語課程..
>>学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(2)グループ分けの全文を読む

学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(1)別大日本語課程について

 具体的な指導方法をいう前に、今日は舞台となる別大日本語課程についてご説明します。  ..
>>学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(1)別大日本語課程についての全文を読む

留学生による読み聞かせ。「園児の泥団子に撃沈!」の巻

 今日火曜日は、留学生科目「応用日本語」のある日。


 この授業では、留学生が自国の昔話で紙..
>>留学生による読み聞かせ。「園児の泥団子に撃沈!」の巻の全文を読む

中級の留学生に対するレポート作成指導

 今日は中級クラスで作文の授業をやってきました。


 別府大学の日本語課程では、中級クラス以..
>>中級の留学生に対するレポート作成指導の全文を読む

会話の授業は障害物競走?

 会話の授業が苦手な方って、結構多いようですね。

 ブログを見ていると、「どうしたらいいのか、..
>>会話の授業は障害物競走?の全文を読む

『合格するための用語集』
アルク

最頻出キーワードを徹底マスター
私篠崎「言語と教育」担当しました。


最近の記事

検索


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。