留学生による自作紙芝居読み聞かせ(20)「授業最終回」留学生は貴重な人的資源だ

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プロフィール

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名前:篠崎大司(1971年生まれ)
出身:愛媛県
性別:男
職業:日本語教師(別府大学准教授)
ウェブサイトURL:http://www.kanjifumi.jp
一言:日本語教師というのは、本当におもしろくてやりがいのある仕事だと思います。

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留学生による自作紙芝居読み聞かせ(20)「授業最終回」留学生は貴重な人的資源だ

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 7月5日(火)は、最後の組3名が幼稚園で読み聞かせを行いました。これで幼稚園での活動はすべて終了したことになります。


 この日は、幼稚園から帰ってきた後、最終日の打ち上げパーティの式次第や役割分担を決めることになっていました。結局、お菓子やジュースを飲みながらの歓談の合間に、2つほどゲームをすることでまとまりました。


 そこで、私は紙芝居作成の際にいろいろと助けていただいた芸術文化科の学生を招待すべく、担当の先生と連絡を取りました。


 また、読み聞かせの練習に参加してもらった国文学科の学生にも同様に連絡を取りました。


 ところが、国文学科の学生については参加できるという連絡を受けたものの、芸術文化科については専門の授業が追い込みの時期であるということから、後日、参加できないとの連絡がありました。


 こうなると交流パーティも単なる内輪の会となってしまい、本講義の最終にはあまりふさわしくない感じ。


 できれば、最後まで何らかの形で交流活動をしたいのですが、かといって、最終授業までもうあまり時間はありません。


 そんな折、ちょっとしたことがきっかけで、思わぬ交流活動ができることになりました。


 私が、いつものように昼食を取ろうと大学前の喫茶店に行ったところ、偶然、短期大学部食物栄養科の先生にばったり会いました。


 その先生の話によると、急遽留学生の授業を一回だけ担当することになった。来週の火曜日、留学生相手に釜揚げうどんと冷やしうどんを作って試食会をする、とのこと。しかも、私の授業と全く同じ時間帯でした。


「うちの学生連れて、遊びに行ってもいいですか。」

「どうぞ、どうぞ。」


 かくして、最終日は短大の留学生(といってもほとんどが日本語課程に在籍する中国人留学生)といっしょにうどんを試食することに。もちろん、国文学科の日本人学生も参加。


 いよいよ7月12日、最終日。事前に提示しておいたレポートの課題を留学生から回収し、予定が変更したことを話した後、全員で調理室に向かいました。


 調理室では、麺の生地をこねている真っ最中で、そろそろ茹でにさしかかろうとしていました。


 ある留学生は、一方で生地をこねながら、一方で湯を沸かし、そうこうしながら食器の準備なども手際よくこなしていました。


「こういう時って、日本人の学生より留学生のほうが動きがいいのよね。」


 もう一人の短大の先生が言った。


 またある留学生は、担当の先生の言われるままに生地の上にビニールシートをかけて足で踏みながらこねていました。


 「足で踏んだものを食べるとは……。」


 そんな顔をしていた。


 日本に来てうどんを食べたことのない留学生はほとんどいません。ですが、足を使って麺を作るなど想像すらできない学生も多く、その意味では貴重な異文化体験です。


 寸胴の湯が沸いたら麺を入れます。10分ほどたつと麺は茹であがりました。つゆの入ったお猪口と箸を持ってまわりを囲っていた学生達は、面が茹であがると一斉に食べ始めました。


 釜揚げうどんの後には冷やしうどんも食べたが、それでも麺が余ったので、食物栄養の先生がビニール袋に麺を小分けにし、学生に持って帰らせました。


 こうして、最後の授業は終わりました。私の中では授業をやり終えた達成感というよりは、むしろ「やっと終わった。」という安堵の気持ちでいっぱいでした。


 さて、最後の授業から1週間たった今、ここですこしだけ本講義を振り返ってみたいと思います。


 今の率直な感想から言えば、授業の進め方にしても学習者の取り組み方にしても、初めてにしては、まあ及第点かな、という感じです。


 そもそもこの企画の狙いというのは、授業という枠組みの中で、普段なかなか接触できない日本人とどこまで交流が図れるか、ということでした。


 結果的には、国文学科はもとより他学科の日本人学生と交流することもできたし、何よりも園児との交流を実現できたことは大きな収穫だったと思います。


 そればかりか、何らかの形で地域に貢献できる機会を得られたことは、留学生にとっても大きな自信につながったに違いありません。


 昨今、留学生を人的資源と見る見方は、あちこちでよく聞かれるようになりました。ですが、実際は日本語が不十分であるという理由から単純労働に終始するケースが非常に多い。それでは、あまりにもさみしすぎる。(って、思いません?)


 考えてみれば、留学生はみなそれぞれ自国の文化を背負って日本にやってきているわけで、


 それは、言ってみればより豊かに生きるための生活の知恵といってもいいものです。


 その知恵を最大限引き出して、日本人との地域交流につなげていけば、結果的に日本人にとってもより豊かな生活空間を得ることになるし、留学生にとっても地域における存在意義が出てくるというものではないかと思います。


 単純労働に埋もれさせるにはあまりにももったいないのです。


 今回の「留学生による紙芝居の読み聞かせ」は、このことをどこまで実証できるかについての一つの試みでした。


 私がこの活動を通じてつくづく感じたのは、留学生に知的な社会的役割を担わせるということが、地域交流、国際交流には非常に重要であるということ。そして、留学生はそれに十分足るだけのこれまた非常に貴重な人的資源であるということです。


 来期もまた、新しいメンバーでこの活動を進め、地域交流の輪を広げていきたいと思います。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。また、この活動を論文にまとめました。よかったらご覧ください。)


 さて、私篠崎は中国出張のため、20日から23日まで本ブログをお休みいたします。次回は24日です。


 どうぞお楽しみに。

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