留学生による自作紙芝居読み聞かせ(17)「授業8日目(後半)」園児との掛け合いこそ読み聞かせの醍醐味

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プロフィール

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名前:篠崎大司(1971年生まれ)
出身:愛媛県
性別:男
職業:日本語教師(別府大学准教授)
ウェブサイトURL:http://www.kanjifumi.jp
一言:日本語教師というのは、本当におもしろくてやりがいのある仕事だと思います。

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留学生による自作紙芝居読み聞かせ(17)「授業8日目(後半)」園児との掛け合いこそ読み聞かせの醍醐味

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 留学生の読み聞かせが流暢になったせいか、最初の組も10分程で終わってしまいました。そのころには園児のテンションもいつもに近いところまできていました。


「まだいけるかな。」


 私は残りの2人に読み聞かせをするよう指示しました。いつもならこの辺りから話に飽きてブロック遊びなどに走る園児が出てくるのですが、今日は久しぶりだったせいか、留学生の話を熱心に聴いていました。


 読み聞かせを始めてから20分ほどですべての話が終わりました。


「これで帰ったら子どもも寂しがるかな。でも、あまりバタバタ遊ばないほうがいいな。」


 そう思った私は、


「じゃあね、みなさん。お友達からね、プレゼントをもらったら、何て言うかな?」


 と振ってみました。(かなり苦し紛れのアドリブです。)


「あ・り・が・と・う!」


 大きな返事が返ってきました。


「そうだですね。じゃあ、中国語で『ありがとう』は何て言うのかな?」


「???」


「中国のお姉さん?何て言うの?」


 私はアイコンタクトを送りました。


「シェー・シェー」


「おもしろいねえ。じゃあ、みんなで大きな声で言ってみましょう。せーの。」


「シェー・シェー」


 割れんばかりの声が返ってきました。


「すごいねえ。じゃあ、スリランカでは何ていうのかな。」


「ストゥーティ!」


「ストゥーティ!」


 園児たちはおもしろがって大声で叫びました。


 こんな感じで「おやすみなさい」「こんにちは」「さようなら」などのあいさつを使って園児たちと交流しました。


 そして、3:30ごろ、私たちはちょっと早めに幼稚園を後にしました。


 帰る途中、スリランカの男子留学生が、


「先生、子どもの前で読むのは本当に難しいね。書いてあることを読んでも全然ダメね。」


 話の中身とは裏腹に、その顔は充実感にあふれていました。


「例えばね、わたしが読むでしょ。『かぼちゃの船が川に流されてしまいました。』ってね。

 そしたら、こどもがすぐに『おじいさんとおばあさんは、本当に困ってしまいました。』って言う。

 私が読むところ、子どもが先に分かって言っちゃう。

 だから、私、次読めないでしょ。

 仕方がないから『そうね。困っちゃったね。おじいさんとおばあさん、これからどうするかなあ?』って言う。

 そしたら、次に進める。これは難しい。」


 大人が淡々と子どもに読み聞かせる、それもそれでよさがあるでしょう。


 また、彼のように大人と子どもがシンクロしながら協同でストーリーテリングしていくのも読み聞かせのスタイルとしては非常におもしろいと思います。


 なかなかいい経験をしているな。


 教室のドアを開けると、学生たちはグループごとに読み聞かせの練習をしていました。


 そして「え、もう戻ってきたの?」という顔でこっちを見ていました。


 練習の様子を見ていると、その気になって取り組んでいる学生とそうでない学生とで歴然とした差があることに気がつきました。


 読み聞かせの練習というのは、まず羞恥心を拭い去ることからはじまります。


 ここをうまく克服できるとわりとスムーズに上達していく。


 ですが、この”人前で読む恥ずかしさ”から抜け出せないでいると、いつまでたっても上達しません。


 私は、しばらく机間巡視(最近は「机間指導」とか「机間支援」とか言うのだそうです。)をしながら指導を行いました。


 そして、残り15分ぐらいになったときでしょうか。メンバーの中でもとりわけ恥ずかしがり屋な中国人女子学生のいるグループにくっついて、集中的に指導を行いました。


 始めは体をくねらせながら、もじもじ読んでいた女子学生も、覚悟したのか、次第に筋の通ったプレゼンができるようになっていきました。


 こうして、今日の授業は終わりました。


(本シリーズは、私が2005年前期に大学の授業「応用日本語U」で行った「留学生による自作紙芝居読み聞かせ活動」の授業記録です。)

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