ホントは簡単!会話の授業(7)「このツッコミが学習者を鍛える」

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プロフィール

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名前:篠崎大司(1971年生まれ)
出身:愛媛県
性別:男
職業:日本語教師(別府大学准教授)
ウェブサイトURL:http://www.kanjifumi.jp
一言:日本語教師というのは、本当におもしろくてやりがいのある仕事だと思います。

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ホントは簡単!会話の授業(7)「このツッコミが学習者を鍛える」

 前回のブログでは、会話の場面に沿ったロールカードを作成し、学習者の会話力を引き上げる仕掛けとしてのハードルを作るところまでやりました。


 授業の準備としては、これでほぼOKです。


 というわけで、いざ授業へ突入!!


 授業の進め方はいろいろあると思いますが、私の場合、こんな感じで進めます。


 1.扱う話題について軽く話し合う。

 2.ロールカードのA役の方だけ配る。(掲示用に拡大し
   たものを用意してもよい。)内容を確認する。

 3.学生の一人を引っ張り出して、B役を教師が演じなが
   ら、ロールプレイをやりながら、「こんな時、なんて
   言う?」とクラス全員を巻き込みながら、文型・表現
   を学習者のレベルに合わせて随時導入しながら、適宜
   板書しながら、談話をつむいでいく。

 4.ロールカードのB役の方を配り、学習者同士ペアで練
   習させる。一通り終わったら役を交代する。


 5.教師が、さっきと違う学生を一人(時間があれば数人
   )引っ張り出して、同様にモデルロールプレイをし
   てクリニック。ここでさらにおもしろい文型や表現を
   加えてもよい。(この後、ペアを変えてさらに練習さ
   せてもよい。)

 6.勉強した文型や表現をおさらいして終わり。


 で、ここからが本題。


 どのように指導をすれば、学習者の会話力は伸びるか。指導のポイントはどこか?


 前回のブログで、私はこんなことを書きました。

=   =   =   =

 ロールカード作成のコツですが、(タスクの内容にも依りますが)私は以下の点は盛り込むようにしています。


1.場所(=図書館)
2.背景(=来週テストがある)
3.AとBの人間関係(=友達)
4.場面・タスク(=ノートを借りる/断る)
=   =   =   =


 実は、これが指導のポイントとして大いに使えます。


 つまり、


1.場所をわきまえた物言いができているか。

2.背景を理解した上で、適切な判断ができているか。

3.人間関係をわきまえた表現ができているか。

4.タスクをちゃんと遂行できているか。


 だから、授業では、


「図書館なんだから、もっと静かに話しなさい。」とか、

「友達もいないし、試験も近いんだから、必死でお願いしなさい。」とか、

「友達同士なんだから、『貸していただけませんか。』は丁寧すぎます。」とか、

「相手がダメといっても、諦めないでいろいろアイデアを出して、借りられるまで頑張りなさい。」とか、

 いろいろツッコミを入れることで、学習者を鍛え上げることができるわけです。


 そして、さらにさらに会話の指導という点から言えば、上の4項目だけでなく、私はさらに以下2つの点も注意して指導するようにしています。

 5.非言語動作(ノンバーバル・コミュニケーション)

 6.談話構成


 5については、例えば「アルバイトの面接を受ける」というタスクの場合、面接を受けに来た学生の態度−椅子に座るタイミングとか、座った時の姿勢とか、顔の表情とか−というのが非常に大切なわけです。


 だから、そういった部分も漏らさずツッコミを入れながら指導する。


 6については、例えば「試験前にノートを借りる」というタスクの場合、「○○の授業のノートを貸してください。」といきなり本題に入ることはないわけで(学生、よくやりません?)、


 「ちょっと、今いい?」とか「実は、ちょっとお願いしたいことがあるんだけど。」といった導入部分を入れなければあまりにも唐突過ぎます。


 同様に、本題の後も「よかった。おかげで助かったよ。」と言った締めの表現があるのが自然でしょう。


 このあたり、学習者・教師ともに意識の死角になりやすいだけに、しっかりツッコミを入れて指導します。


 会話の指導のポイントは、考えればいくらでも出てくると思いますが、ひとまずこれだけ押さえておけば十分だと思います。


 ただ、一つ気をつけていただきたいのは、調子に乗って、学習者の自尊心を傷つけたり、不快にさせるようなツッコミは絶対しないこと。


 指導は、あくまでも誠心誠意が基本です。


 会話の指導に自信がない方は、予め「このタスクだと、学習者はどんな会話をするだろうか。」と授業をシュミレーションしてみて、


 「じゃあ、こんなツッコミができるかな。」と、ある程度予測した上で授業に臨むといいかもしれません。


 この授業に慣れてくると、ロールカードとハードルの用意だけしておけば、いちいちシュミレーションしなくてもなんとかなるようになります。


 そうなるとしめたものです。


 それから、授業のあと、どんな文型・表現を指導したかリストアップしておいてください。(試験の設計の時に必要です。)


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「ホントは簡単!会話の授業」は、・・・


 (8)「ハードル競走型会話指導実例集−初級編」です。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
『OPIの考え方に基づいた日本語教授法―話す能力を高めるために』

『ACTFL‐OPI入門―日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』


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