ホントは簡単!会話の授業(6)「レベルの調整はハードルの高さと量」

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名前:篠崎大司(1971年生まれ)
出身:愛媛県
性別:男
職業:日本語教師(別府大学准教授)
ウェブサイトURL:http://www.kanjifumi.jp
一言:日本語教師というのは、本当におもしろくてやりがいのある仕事だと思います。

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ホントは簡単!会話の授業(6)「レベルの調整はハードルの高さと量」

 さて、前回は場面設定が会話の授業ではとても重要だってことを書きました。


 次に用意することは、場面に合ったロールカードを作るということです。


 例えば、中級レベルの留学生が出会う場面として「試験前にノートを借りる」があるとすると、

〈ロールカード:中級〉

A:ここは図書館です。来週テストがあります。ですが、あ
  なたは授業にあまり出ていません。友達のBさんにノー
  トを借りてください。

B:ここは図書館です。来週テストがあります。友達のAさ
  んがあなたのノートを借りに来ました。できるだけ断っ
  てください。


 と、ざっとこんな感じになるでしょうか。


 ロールカード作成のコツですが、(タスクの内容にも依りますが)私は以下の点は盛り込むようにしています。


1.場所(=図書館)
2.背景(=来週テストがある)
3.AとBの人間関係(=友達)
4.場面・タスク(=ノートを借りる/断る)


 で、今度はハードルを決めます。


 このハードルの設定がタスクのキモの部分。非常に重要です。


 場面設定もタスクのレベルに影響しますが、ハードルの設定こそがタスクのレベルを決定的なものにします。


 ハードル設定によるレベル調整の基本は、その高さと量です。


 「量」については、とりあえず10個ぐらい用意しておくといいと思います。後は学習者の出方によって調整してください。


 「高さ」とはハードルの難易度な訳ですが、ハードルの種類は概ね以下の3種類ぐらいかなと考えています(これはあくまでも私のレパートリーです。)


5.疑問文
6.「それ、無理。」的発言
7.不意打ち質問
8.相手の言動へのツッコミ


 「5.疑問文」は最も一般的なハードルです。


 もちろん、質問の内容によってハードルの高さを調整することもできますが、疑問文のタイプでもかなり調整は可能です。


a.Yes-No疑問文
b.選択疑問文
c.疑問詞疑問文
d.「なぜ/どうして」疑問文(いわゆる理由要求の疑問文
  )
e.「それ、どういうこと?」疑問文(いわゆる説明要求の
  疑問文) 


 質問のレベルでいうと、aが一番やさしくeが一番難しいのが分かるでしょうか。


 だから、(タスクのレベルによりますが)タスクの始めはa〜cぐらいにして、時々d(あるいはe)を持ってくるといいかなということになります。


 しかし、疑問文ばかりのハードルだとまるで警察の職務質問みたいで、ちょっと不自然。そこで次のハードルが、


6.「それ、無理。」的発言


 です。


 これは、Aの要求を頭から突っぱねるような発言で、例えばこういうのです。


A:ノート、貸して。
B:いつ?
A:今。
B:今?今日、持ってきてないんだけど。(←これ)
A:え!・・・じゃあ、明日はどう?


 ハードルのレベルはそこそこ高いんじゃないかと思います。Aは即座に対案を出さなければならないからです。


 中級ぐらいになると、この手のハードルをじゃんじゃん出していくと、結構面白いタスクになると思います。


 次に「7.不意打ち質問」です。


 例えば、「試験前にノートを借りる」というタスクで言うと、一通り会話のやり取りを行った後、Bが


 「え〜と、で、何の講義のノートだったっけ?」


 と、会話の最初の方の内容を再度確認するようなタイプの質問です。


 質問の内容自体はそんなに難しくないはずですが、会話の流れと全く関係なく出される、文字通り不意打ちの質問である分、Aにはそれなりの対応力が求められます。


 最後は「8.相手の言動へのツッコミ」です。


 例えば、


A:ノート貸して。
B:いやだよ。僕も使いたいんだから。
A:お願い!他に友達いないんだ!
B:静かに!ここは図書館だよ。(←ここ)


 自分の言動を不意に注意されると、得てして人は動揺するものです。


 このハードルの狙いは、動揺しないでちゃんと対応できるかどうかという点です。


 これは、タスクの中に1つあるかないかぐらいでいいと思います


 いかがでしょうか。


 後は、実際に学習者の顔を思い浮かべて、「この質問なら、学習者は応えられるかなあ。」と考えながら、「応えられる。」「頑張ったら応えられる。」、「どうかなあ?」ぐらいのハードルを用意するといいと思います。


 おっと、最後に一言。


 「ハードルは、言葉は易しく、内容は難しめ。」


 まずは、前回の宿題の場面にあったハードルを10個、考えてみてください。


 とても貴重な財産になると思います。


 ◇   ◇   ◇


さて、次回の「ホントは簡単!会話の授業」は、・・・


 (7)「このツッコミが学習者を鍛える」です。


 どうぞ、お楽しみに。


参考文献:
『OPIの考え方に基づいた日本語教授法―話す能力を高めるために』

『ACTFL‐OPI入門―日本語学習者の「話す力」を客観的に測る』


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