学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(2)グループ分け

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プロフィール

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名前:篠崎大司(1971年生まれ)
出身:愛媛県
性別:男
職業:日本語教師(別府大学准教授)
ウェブサイトURL:http://www.kanjifumi.jp
一言:日本語教師というのは、本当におもしろくてやりがいのある仕事だと思います。

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学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習(2)グループ分け

 昨日はえらく長々と書いてしまいました。今回からさらっと・・。


 学期初め、日本語課程全体のオリエンテーションが終わったら、クラスごとのオリエンテーションをします。


 ここでは、自己紹介やら授業の進め方の説明やら出席率の説明やら使用教科書の注文取りやらをします。(この辺はどこの学校も似たり寄ったりではないかと思います。)


 その後、クラスの学生を1グループ3〜4人ぐらいでグループ分けをします。


 分け方は「好きな人同士/友達同士」。ここはとても大切な所です。


 グループ分けというと、知らない人同士、違う国の人同士でグルーピングしようとするのが常套手段ではないかと思います。


 人間関係を広げるのが目的であれば、それはとても有効な手段です。


 しかし、今回に限ってはむしろ逆効果です。


 このグループは、欠席グセに歯止めをかけるための仕掛けです。


 彼らはこの先、期末試験までこのグループのメンバーと運命をともにします。


 メンバーのうち、誰か一人でも出席率が80%を下回れば、メンバー全員が罰を受けなければなりません。


 逆に、メンバー全員が出席率をクリアすれば、全員でその喜びを分かち合うことができるわけです。


 だから、出席率を維持するためには、学習者に「私が休んだら、大切な友達にまで迷惑が及んでしまう。」という気持ちを、常に持たせなければなりません。


 また、同じ国の仲良しグループの方が、何かあった場合、何の抵抗感もなく母国語でスムースに連絡を取りあうことができます。


 グループ分けはそのための仕掛けです。


 もし仮に違う国同士で組ませてしまうと、人間関係がないため抑止力が強く働かないばかりか「やっぱり○○人は時間にルーズだ。」といったような、妙な偏見を学習者に抱かせてしまいかねません。(こうなると最悪です。)


 だから、仲のいい友達同士で組ませる方がはるかに効果があるわけです。


 もちろん初めてのクラスですから、全員が全員うまく仲良しグループに収まるわけではないかもしれません。それはそれで構いません。(そんな時は、人間関係を築かせるためにもグループごとで軽く自己紹介をさせてください。)


 大切なことは、グループ分けにしても何にしても、できるだけ学習者に選択の余地を与えるということです。


 このプログラムの最大の目的は、「学習者に責任ある行動をとってもらう。」ということです。出席率はその一つの指標です。


 学習者にできるだけ選択の余地を与える。そして、選んだことによって生じた問題は選んだあなたの責任ですよ。ちゃんと責任を持って処理してくださいね。そういうことです。


 こういう理屈は、学習者に選択の余地を与えなければ成り立ちません。


 だから、もしグループ分けのときに、学生が「先生が決めてください。」と言ってきても、必ず突っぱねて彼ら自身に決めさせてください。


 そうでないと、将来学習者が何か大きな問題にぶち当たった時、教師の判断を必ず責任逃れの言い訳に使います。


 こうして首尾よくグループ分けができたら、AチームとかBチームとか適当に名前をつけた後、学習者に向かってこう言ってください。


「このグループは運命共同体(板書したほうがいいかも)です。

 もし、メンバーのうち一人でも出席率80%を切ったら、メンバー全員が罰を受けなければなりません。

 メンバー全員です。

 一人だけ逃げることはできません。

 でも、メンバー全員が80%以上だったら、みんなで喜びます。

 これもメンバー全員です。

 だから、もしメンバーの誰かの出席率が危なくなったら、他のメンバー全員で助けてあげてください。

 そうしないと、メンバー全員が罰を受けなければなりません。

 メンバー全員です。」


 グループ分けは、ひとまず以上です。


 ここで一つ注意していただきたいのは、このグループ分けは、教室での座席位置とは全く関係がないということです。


 グループごとに座る必要は全くありません。


 私の場合、オリエンテーションの前日に、予め学習者のネームプレートを机に貼るようにして、事前に座席を指定させておきます。


 座席の決め方は、できるだけ違う国同士、違う性別同士になるようにします。


 そのような低コンテキスト環境にしておいた方が、日本語の授業を進める上では何かと都合がいいからです。


 だから、グループのメンバーが教室内でてんでんばらばらに座っていても所詮同じ教室内、特に問題はありません。


 日本語の勉強は知らない人同士、出席管理は仲良し同士。このダブルネットワークによって、取りこぼしや落ちこぼれを生まない強力なクラスマネージメントの実現を目指すわけです。


 さて、次回の「学習者の出席率を劇的に引き上げる協働(もどき)学習」は、


 (3)「ペナルティを決める」です。


 どうぞ、お楽しみに。


 全然さらっとじゃないじゃん・・・。


参考文献:
D.W.ジョンソン他『学生参加型の大学授業
ゾルタン・ドルニェイ『動機づけを高める英語指導ストラテジー35


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