【「教科書を教える」レベルに陥っていないか。】

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プロフィール

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名前:篠崎大司(1971年生まれ)
出身:愛媛県
性別:男
職業:日本語教師(別府大学准教授)
ウェブサイトURL:http://www.kanjifumi.jp
一言:日本語教師というのは、本当におもしろくてやりがいのある仕事だと思います。

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【「教科書を教える」レベルに陥っていないか。】

メルマガ「篠研の日本語教育能力検定試験対策」より。
http://www.kanjifumi.jp/kyoshiyosei/nafl.htm
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実習指導をしていて時々気になることがあります。

それは、

「指導書をそのまま鵜呑みにしてしまう。」

ということです。

例えば、初級文型「〜てやります」を導入するとします。

よくある導入文型としては、
「妹に漢字を教えてやりました。」
といったような例文です。

私が今日教案指導した実習生も、同じような例文を
用意してきました。

以下、私と実習生の会話。


私  :例文、これでいいの?
実習生:はい、指導書にもありました。
私  :でも、今回のクラスは全員中国人でしょ。
    あなたも中国人でしょ。
    兄弟いるの?
    中国は一人っ子政策をやってるんじゃないの。
実習生:はい、私には兄弟はいますが、
    今のクラスの学生にはいないと思います。
私  :じゃあ、この例文、学習者にとって意味あるの?
実習生:……。でも、指導書にありましたから。
    それに、これは(「〜てやります」を勉強するための)
    例文です。ダメですか。
私  :じゃあ、学習者にとってこの「〜てやります」を
    勉強する意味って、何?
実習生:……。
私  :学習者が実際に使うような例文を持ってこないと、
    勉強したって結局使えないんじゃない?
    使えない言葉を勉強したって、意味ないでしょ。
実習生:……はい。


私は指導書を利用するなとは言いません。

知識も経験も不十分な実習生が、授業プランを
1から全部考えたところで、時間ばかりかかって
非効率的です。
(時間が許すのであれば、当然ありですが。)

だから、私は指導書は大いに活用するべき、

それも1つではなくて、いろいろな指導書を見比べて、
いいとこどりをするべき、と考えています。


しかし、その際に重要なことは、
指導書のアイデアが、自分が実際に担当する
クラスにちゃんとフィットする内容のものかどうか
ということを、きちっと確認する必要があるということ。


上の例などもそうですし、

例えば、ちょっと古いテキストだと
「弟にテレフォンカードを貸してやりました。」
みたいな例文があるかもしれない。
(今どき……ですよね。)

また、同じ文型を導入するにしても、
学習者が留学生か社会人かで例文の内容も変わります。

つまり、必ずしも指導書の内容が担当するクラスに
ぴったりフィットするわけではないのです。

これは、指導書が悪いわけではありません。

指導書の導入は、あくまでも1つの例であって
それをどう料理して学習者に提示するかは、
あくまでも教師の責任です。

と同時に「教師の腕の見せ所」でもあります。


「教科書を教えるのではなく、教科書で教える。」
と言われるゆえんです。


そういうふうに言うと、

「忙しい中、特に手当も出ないのに、
 授業準備にそんなに時間なんてかけられない。」

と言う人が必ずいます。


また、プロの教師の中にも、

「指導書にそうあったんで、その通りにやりました。
 悪いですか。」

みたいな言い方をする方が稀にいらっしゃいます。

いずれの場合も「教科書を教える」レベルで
教師としてほめたものではありません。


どうして「教科書を教える」レベルが悪いのかというと、
(もちろん「教師道的に」的な論もありますが。)

いわゆるマニュアル通りの教え方しかできない教師は、
結局のところ、賃金の安さでしか勝負できないからです。

みずから時給を下げているようなものなのです。

それだけではありません。

例えば、『みんなの日本語』がすべてeラーニング化され、
ネット上に『みんなの日本語学校』のようなサイバースクールができ、

実際に日本語学校に通うよりもはるかに低料金で、
実際に授業に出るのと同じぐらい、
(あるいはそれ以上にメディアリッチな)授業を
母国に居ながらにして体験できるようなったら、
どうなるでしょうか。


「教科書を教える」レベルの教育しかできない
差別化ゼロの教師など、瞬く間に淘汰されるに違いありません。


よく
「論文や専門書を鵜呑みにせず、批判的に読め。」
と言われますが、

それは、
「専門家根性をつけろ」という意味ではなく、

「そうやってオリジナリティを生み出す思考力を
 身につけないと、すぐに淘汰されますよ。」
 
という意味なんですね。


教壇実習を経験した方、
そして、すでにプロとして活躍なさっている方。

「教科書を教える」レベルに陥っていないか
今一度、普段の授業への取り組みを
振り返ってみてはいかがでしょうか。

もし、少しでも心当たりのある方は、
少しずつでも授業に自分なりの工夫を加えていくと
いいと思います。

その蓄積が、教師としての自分を唯一無二な存在に
高めてくれると思います。


              ……それが10年続けばしめたもの。

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