その中で、特に目を引いたのが下の論文。
原田三千代(2006)「中級学習者の作文推敲過程に与えるピア・レスポンスの影響−教師添削との比較−」『日本語教育』131号 pp.3-12
論文の内容を簡単に言うと、最近注目されているペア・レスポンス(とりあえずここでは「学習者相互で作文を推敲しあう学習スタイル」としておきます。)が中級学習者の自己推敲にどのような影響を与えるかについて、一般的に行われている教師添削指導と比較しながら考察したものです。
気になる部分をいくつか引用します。日頃の自分の指導を振り返りながら読んでみてください。
・教師添削では学習者は常に書き手であり、自分の書いたものについて教師からフィードバックを受ける立場に立つ。……これに対し、ピア・レスポンスでは、学習者は書き手だけでなく読み手としてフィードバックを与える立場をとる。このような読み手の立場に立ってフィードバックを与えるという経験は、学習者の自己推敲能力の養成に積極的な影響を及ぼすことが予測される。(pp.3-4)
・ピア・レスポンスは、…作文の内容的な側面に有効に働くことが示された。一方、教師添削は、言語形式的な側面に有効に働くものの、学習者の自己推敲に対しては、その効果が減退する傾向にあった。(p.10)
・学習者にとって教師添削が内化されにくい (p.10)
・教師添削が「文法の正確さ」に対する学習者の自己推敲を必ずしも促進していないという、本研究で示された結果は、これまで多大な時間と労力を費やして教師が行ってきた添削が、学習者自身の推敲にとって、あまり意味をなしていないということを表している。(p.11)
・学習活動を考える際に、教師は主導的な教え方を磨くのではなく、学習者の主体性をいかに引き出すかに焦点を当てた学習場面を創る必要がある。(p.11)
いかがでしたでしょうか。私もここ1年ほど作文の授業を担当してきましたし、新年度からもその予定です。これまでの指導スタイルは、正に教師添削でした。
それで、とにかく学習者にたくさん書かせて、「教師添削→清書」を繰り返していけば、自然と力がつくという考えでした。(実際、それなりに結果は出ていましたし……。)
でも、それだけでは、日本語課程が終わってから専門的なレポートなり論文なりを書こうとしたとき、自力で前に進めなくなってしまうのかもしれません。
あらためて、自分の授業設計を見直してみようと思います。



